乙彼
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換しようという時には、里香と二人で周りのみんなには秘密にしておこうと約束していたはずなのだが。どうしてか気づけば周知の事実となっており、最近のからかわれるネタ筆頭だ。流石に普段の仲間うちのみで、学校の友人たちにまでは伝わっていないものの、最近はクラインやエギルから感じる視線が生暖かい。まるで結婚式を控えた父親であるかのような。
……それはともかく。翔希にしても確かに、そちらはそちらで非常に厄介な事案だったが、そんな事案から現実逃避するかのように違うことも考えていた。
「それは里香と二人で決めて、二人でポイント集めたものだからさ。他に何か少しでも、里香を驚かせるものは……って」
「あ。その気持ち、分かります!」
なんでかガッツポーズで熱弁する桂子に残り二人で苦笑いを浮かべつつも、それでも翔希は、相変わらずこういった相談では神様仏様桂子様だ――と、余裕のない思考を脳内から振り払いながら、ひとまず水筒に入れてきた緑茶を一口。定食のおまけにある味なしパスタに胡椒をふりかけて、あまり品のない食べ方ではあるが冷めた唐揚げとともに食べていく。
「だから、まあ……そういうことだよ」
「そういうことじゃわかりませんよー?」
「け、桂子さん……」
「……どうか知恵をお貸しください」
「ふふふ……いつもの頼みますね」
……どうやら今回も桂子様に頼ることになりそうだと、パフェの代金が頭を下げた翔希の財布から消えることに決定する。年下の少女に頭を下げるなどと、無関係の第三者が見たら何かのプレイのように思われるかもしれないが、当人はもはやそんなことを気にしてはいられなかった。もはや見栄を張ってもいられない。
……というより、その第三者の立場に最も近い者がすぐ隣にいた。優雅に紅茶を嗜みながらも、話の流れに着いていけていなさそうな、首をかしげたひよりと目があって。
「ああ、もちろん、ひよりにも必ず」
「ああいえそんな、私は別に……!」
「いや、こうして相談させてもらうんだから、桂子だけって訳にもいかない」
「で、では私も、しっかりと里香さんを驚かせるようなものを考えますね!」
「……ですけど翔希さん。真面目な話ですけど、もう予算もポイントもないですよね?」
「……お察しの通り」
翔希とひよりの生真面目なやりとりを横目で見つつ、菓子パンをかじっていた桂子から鋭い指摘がショウキに刺さる。確かにその指摘の通りだと、オーグマーで見ていた光景を可視化させれば、もはや欠片も残っていないポイントと軍資金が二人に晒される。そもそもオーディナル・スケールのポイントに頼ったのは金欠からで、そのポイントはメインのペア旅行券に全て使い果たしたのだから、何もないのは当然の結果だったが。
「旅行
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