第十章 風が吹いている
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「な、なんだよこのカッコはっ!」
あおいは、両の腕を持ち上げてびっくりおろおろと、自分の服装を見下ろしていた。
白を基調にところどころ青いラインやポイントの入っている服を。
上半身は舞踏会の貴婦人のようにぎゅっと詰まった硬い感じで、反対に下はふわっとしたスカート。
青いグローブに、ブーツ。
高校の制服が、水に溶けるように消えたかと思ったらこのような服装になっているのだから、驚くのも無理はないだろう。
驚いているのは、あおい本人だけではなかった。
「……ああ、あおいちゃんが、二番目の、魔法女子だったなんて……」
赤い服に、赤い髪の毛、魔法女子ほのかである。
二人きりでいるところをマーカイ戦闘兵に襲われ、正体がばれることをいとわず変身し、あおいを守り戦っていた。しかし今日は敵の数が多く、もう守りきれない、というところで、あおいの能力が覚醒し、二人目の魔法女子が誕生したのだ。
新たな戦士の出現に動揺していたマーカイ戦闘兵たちであるが、気を取り直した先頭の一人が襲い掛かる。
あおいは、ぎりぎりで攻撃をかわすと同時に、相手の顔面に拳を叩き込んでいた。
「ギギャッ!」
マーカイ戦闘兵の悲鳴。
四散、消滅。
「すげえ……」
無意識の反撃だったのであろうか。
あおいは、ぽかんとした表情で、爆発的なパワーを発揮してみせた自分の両手を見つめていた。
ゆっくり顔を上げると、ほのかへと視線を向けた。
二人は無言で、力強く頷きあった。
その瞬間、さらに二体のマーカイ戦闘兵が悲鳴とともに闇夜に溶け消えた。ほのかの拳と、あおいの回し蹴りが、それぞれ炸裂したのである。
ならば、と束になって飛びかかる十数体のマーカイ戦闘兵であるが、すべて闇へと還るまでに、ものの一分とかからなかった。
「こやつらはしょせんザコ。はなから頼りになどしておらんわ!」
先ほどから様子を見守っていた、巨大な蜘蛛の背中から女性の上半身が生えているような不気味な怪物が、突如沈黙をやぶって、ざざざっと走り出した。
マーカイ獣。魔界で製造された合成獣である。
「死ねい!」
ぞわぞわ動く触手のような脚が、一本、二本とあおいに襲いかかる。
「おっと」
すすっとかわし、今度はこちらの番とばかりにその脚を蹴るあおい。
しかし、さすがに戦闘兵とは違うということか、まるでダメージを受けている様子がない。
「上! 気を付けて!」
ほのかの叫びに、あおいは素早く後ろへ飛び退いた。寸前まで立っていた空間を、鎌のような爪が切り裂いたのは、その刹那であった。
しかし、
口からぷっぷっと糸が吐き出され、あおいの両手
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