EX回:第55話(改2.0)<お節介な助け船>
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秘書艦は私に封筒を差し出した。
「経費です」
「あ、そうか」
半分諦めていたけど、やっぱり嬉しかった。
でも内容を改めながら、ふと思った。
(そうか、私のは『経費』になるのか)
思わず監査を連想した。これじゃ自由勝手に使う気にならないな。
「では、確認事項は以上で宜しいでしょうか」
祥高さんの言葉でハッとした。
「そうだね」
彼女は敬礼した。
「では、只今より祥高並びに寛代の2名、無線回線を開いたまま休息に入ります」
寛代も無言で敬礼をしている。
「うむ」
私も敬礼をし互いに鎮守府のロビーで別れる。
「さすがに制服は暑苦しいな」
彼女たちの後ろ姿を見送りながら呟いた。
そこで部屋に戻って緩い格好に着替えた。
「ポロシャツしかないけど」
まあ仕方がない。
窓から見える青空が綺麗だ。
「自由時間なんて想定外だったからな」
再びロビーに降りた私は鎮守府の事務員に聞いた。
「この近くに海水浴場はないのかな」
すると担当の事務官の女性(日本人)は苦笑した。
「この国には、そういう習慣がありません」
「え! そうなのか」
すると隣の男性事務官(日本人)が言う。
「それでも鎮守府の前の国道を15分くらい走れば山の向こうに砂浜はありますよ」
続けて女性。
「鎮守府前の大通りからバスも出てますけどタクシーを捕まえたほうが早いかも知れません」
「バスにタクシーねぇ」
最近乗ってない。オマケにここは外国だ。
兵学校でも習った片言レベルの英語なら多少話せる。
しかし不慣れな土地だ。
(そもそも行った先に艦娘が居なかったらアホみたいだぞ)
私がモソモソしていたら事務官が簡単な観光地図を出してくれた。
「その気になれば歩いても行けなくは無いです」
「ま、マジで?」
思わず反応する。
「気分転換に散歩も良いですよ。ここは暑ささえ気をつければ治安も安定していますから」
「ああ、そう」
それでも私がカウンターで行き先が決まらないで悶々としていたら後ろの現地スタッフが言った。
「ワタシ買い出し行くから山向こうの砂浜、寄りまス」
「はぁ?」
彼は片言の日本語で続けた。
「すぐ、すぐネ」
そこに行けば確実に艦娘がいるのだろうか? 分からない。
私は肩をすくめた。
(寛代たちと一緒に行動していれば艦娘の居場所も簡単に分かったのにな)
失敗した。
艦隊の指揮なら直ぐ出来るんだが私的な行動になると躊躇するものだ。
そこに来たのが青葉さん。
「あれ? 司令、まだ居られたんですか?」
「いや、ちょっと……」
彼女は微笑んで言う。
「何処かへ行かれます?」
「その予定で……」
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