192部分:ラグナロクの光輝その四十六
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ラグナロクの光輝その四十六
「どうなのですか?」
「その通りです」
そして彼女も遂にそれを認めた。
「やはり」
「ですが。この道に関してはニーベルングも知りません」
「彼も」
「その道を知っているのは我等アースの者だけです。そう、我々だけが」
「そうだったのですか」
「その道の名はビブロスト」
ブリュンヒルテは言った。
「ヴァルハラと他の世界を繋ぐ。知られざる道です」
「そこを使ってヴァルハラに出入りしている」
「そうです」
「そして我々もまた。そこに入ると」
「ですが。注意して下さい」
ブリュンヒルテは言う。
「そこは知られざる道。ニーベルングにそこを知られたならば」
「全ては潰えると」
「ですから。私はこれはあまりお勧めしません」
リスクが大きいからだ。例え七匹の竜を相手にしてもムスッペルスヘイムから入る方が安全であり確実性が高いのだ。これはかなり危険な賭けである、ブリュンヒルテはそれを知っているのであった。
「事前に察知されたならば道を塞がれ」
「そして入ったとしても下手をすれば敵地で殲滅される」
「ビブロストは大軍の行き来は出来ないのです」
そしてまた述べた。
「ですから」
「奇襲ですね、わかりました」
話を聞いたパルジファルの脳裏にあることが閃いた。
「ですがお任せ下さい」
「何かお考えが?」
「はい、まずはムスッペルスヘイムで」
彼は言った。
「落ち合いましょう。そして」
「ヴァルハラへ」
「詳しい話はその時で。宜しいですね」
「・・・・・・・・・」
ブリュンヒルテは暫し返答を置いた。だがやがて口を開いた。そして言った。
「わかりました」
彼に賭けてみることにしたのだ。
「では。総帥のお考え、見せて頂きましょう」
「どちらにしろこれが最後です」
パルジファルも言葉を返す。
「ニーベルング族との戦いは。ならば」
「賭けてみるのですか」
「クリングゾル=フォン=ニーベルングの罠を避け、勝利を収める為に」
彼もまた決意していたのである。
「その為にもビブロストを」
「わかりました」
ブリュンヒルテも決意した。
「ではまずはムスッペルスヘイムで」
「はい」
「そこで落ち合い詳しいお話を伺います」
「ではその時にまた」
「そう、そして」
「最後の戦い、ラグナロクへ向かいましょう」
「ラグナロクですか」
その名を聞いたブリュンヒルテの顔が一変した。一挙に不吉なものになった。
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