異世界への扉 ─門番ピエロ─
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の間に緊迫した空気が流れ─
「貴方は?」
─ることはなくウィスは全く動じることなく言葉を返した。
「あたしの名前はドロシー。魔女よ。」
ドロシーは慣れた様子で箒から降り立ち、自身の名を名乗る。口元は円を描き、此方をどこか図る様子で見つめている。
「……魔女?」
魔女とはあの魔女のことだろうか。
いまいち要領を得ることができないが。
「そっ、あの魔女。」
「魔女ですか…。私の名前はウィスです。よろしくお願いしますね。」
第一印象、挨拶大事。
ウィスは握手をするべく右手をドロシーに差し出す。
「─。」
固まるドロシー。
先程までの人を食ったような様子は見られず、ウィスの手と顔を交互に見てどう反応すればいいのか迷っているように見られた。
一体どうしたのだろうか。
「どうしました?」
ウィスは怪訝に思い彼女に問いかける。
「…あんた私が魔女だって聞いて驚かないの?」
「…いえ、別に。」
魔女など聞きなれている。
実際に出会うったこともある。
そもそもウィスはこの世界の住人ではない。
彼女が魔女だとしてもとやかく思うことはない。例え彼女がこの世界で恐れられている存在であったとしても。
ウィスにとっては魔女?あー魔女ね、知ってる、知ってるという程度の認識でしかない。
それにウィスは魔女よりも余程恐ろしい存在を知っている。
キャスターのジルとか。
キャスターであるジルとか。
セイバーであるはずのジルの面影が全く存在しない、あのギョロギョロとしたキャスターのジルの目はトラウマものだ。
"ジャンヌは素晴らしと思いませんか!!?ウィスううぅぅぅ!!"
"おおー!!邪ンヌうううううう!!邪ンヌううぅぅぅ!!""
うっ、嫌なことを思いだした。
やめろ、その肥大化した眼球を近付けるな。
ウィスは顔を僅かに顰める。
そんなウィスに対してドロシーは……
「そう…。ふふっ。」
笑っていた。
楽しそうに、愉快そうに、実に愉しそうに、面白いものを見たというように。
「…?」
見ればドロシーはどこか嬉しそうな表情も浮かべている。
ただウィスは彼女と自己紹介をしただけなのだが。ウィスは彼女が頬笑む理由が分からず思わず首を傾げるしかない。
「私、何か変なこと言いましたか?」
「いえ、別に。ふふっ。私が魔女だと知って普通に私に接してくるウィスが可笑しくて。」
やはり魔女という存在はこの世界で恐怖の象徴なのだろうか。
「私の名前を……」
「これからはあなたのことはウィスって呼ばせてもらうわ。私のことはドロシーって呼んでくれない?
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