生存戦 3
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が合流し、パーティを組んだ。
ほとんどの生徒が脱落するなか、ジャイルと合流したクライスたちは彼のサバイバル術に大いに助けられていた。
【ウォーター・ピュリフィケーション】などという地味な魔術を習得していない彼らは飲み水の確保に困難した。
目の前に大量にある沼地の水は煮沸したとしても、とてもじゃないが飲料水には適さない。
あまりにも濁っていた。
だがジャイルは池沼の水際から五メトラほど離れた場所を水面より深く掘ると比較的澄んだ水が出ることを知っていた。
そこからさらに滲み出てくる水を幾度も汲み上げると、さらに濁りがなくなる。
秋芳の世界で言う、インディアン井戸というやつだ。
彼らはアースエレメンタルを召喚して穴を掘らせ、湧き出た水を沸騰させてなんとか飲み水を入手できたし、食べていい生き物を食べやすいように調理することができた。
こんなことができたのはストリックランド派の生徒ではジャイルただひとりであった。
ジャイル=ウルファート。
二年五組の生徒で、学院内では札つきの不良として有名だ。若い身にもかかわらず多くの修羅場を潜っており、ガラも口も悪いが律儀な性格で男気がある。不良仲間から慕われ、仲間を引き連れて地下下水道の定期保守作業なども請け負っている、これまた異色の生徒だ。
「……わたし、棄権するわ。もうこんなの耐えられない」
パーティ唯一の女子であるエナ=ウーノが憔悴した顔で退場する旨を告げる。
「まぁ、シャワーも浴びられないし、女の子にはつらいだろうね。無理せずに帰ったほうがいい」
「明日の朝一番にリタイアするから、みんなも無理しないで」
「ふん、僕は最後まであきらめないぞ。エナが抜けてもまだ三人一組と二人一組が組めるんだ。見つけることができればあんなやつすぐに撃破してやる」
「…………」
「けれど意外だな、まさか君みたいなやつが今回の生存戦に参加するなんて」
「俺も意外だったぜ。おまえらみたいな坊っちゃん嬢ちゃんが三日もこんな場所で根をあげずにいたなんてな」
「……ふん!」
普段ならばこの物言いに食って掛かるところだが、水と食料を提供された恩がある。プライドの高いクライスもハインケルも強くは出なかった。
「けれど、意外というならジャイル。なんでおまえは今回の生存戦に参加したんだ? おまえはあの異邦人と決闘していないし、見る限りたいして遺恨があるとは思えないが」
「……そういう気分だっただけだ」
ジャイルはそれっきり黙して語らなかった。
嘘ではない。
ほんとうにそういう気分だっただけだ。
魔術競技祭でやわな相手とばかり思っていたルミア=ティンジェルと接戦の末に敗北。
それも気がつけばベッドの上というていたらくにジ
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