生存戦 3
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
飛空挺から生徒たちがひとりずつ迷いの森の無作為な場所に降ろされる。
今回の生存戦は、参加者ひとりひとりが勝ちを競うものではない。個人対個人ではなく、秋芳とマキシム主義ストリックランド派による個人対集団の戦いだ。
総勢三〇人をひとりで相手取らなければならない。
この三〇人という人数がくせ者だ。三人一組のユニットが一〇組み出来る算段になる。
編成される前に叩くのが常道である。
「俺は最後に降りる。みんな先に降りて、好きな相手と組めばいい」
それを、秋芳はみずから放棄した。
「東方の米つきバッタめ、アルフォネア教授のお気に入りだからといって調子に乗りやがって……」
ストリックランドと彼の教え子たちは奮起した。
なんとしても魔術戦闘で、圧倒強大な魔力で叩き潰してやると。
アウストラス山の麓に広がる迷いの森は広大だ。
そのすべてを生存戦の舞台にするわけではない。今回はそのわずかな一画。学院に近い側を生存戦のフィールドとして指定している。
派手な色に着色された【ルーン・ロープ】で仕切りをし、そこから外へ出た場合は失格となる。
気絶や降参による戦闘不能を致死判定とし、攻撃手段は魔術のみ。時間無制限の一本勝負。
そのため秋芳はあえて『今回の生存戦は魔術のみで戦う』という制約をみずからもうし出た。
さらに長期の調査などで使用する記録保持用の行動履歴水晶を身につけた。これにより体術を駆使した反則≠おこなえば、その行動は記録されて明るみに出ることになる。
「《雷精よ・紫電の衝撃以て・撃ち倒せ》」
秋芳の指先から放たれた雷線が跳びかかろうとした狼の鼻先で火花を散らした。
GANッ!
野生の獣は魔術による痛みと衝撃におどろき、退散する。
「紀伊や京都の山中で熊に遭遇したことはあったが、生きた野生の狼を目にしたのははじめてだ。やはりそこいらの犬よりも大きくて迫力があるな。それに、やつらが最初に人間のどの部分を狙うのか参考になった」
狼が最初に狙うのは脛。脚をつぶして獲物の動きを封じてから首の後ろを噛む。ここをやられるとたいていの動物は即死だ。狼に襲われた人の体験談ではこの二点はほとんど共通している。腕を噛まれることも多いが、それは人がとっさに腕で防ごうとするからだ。
「本に書いてあるとおりだと我が身をもって証明できた。いい経験だ」
このように、生存戦では野生動物との対峙なども自力で乗り越えなければならない。
起伏のある丘陵や緑豊かな草原、河川や沼沢といった地形には様々な動植物が生息している。
生徒たちの生存戦の舞台に選ばれるほどなので、それほど危険な動物や凶悪な魔獣は存在し
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ