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真田十勇士
巻ノ百三十六 堺の南でその四
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「この世を去りたい、あと死んだ後もじゃ」
「日光にですな」
「わしは入ってそうしてな」
「あちらからですか」
「わし自身が江戸の東北、鬼門を護る」
「比叡山の様に」
 都の東北つまり鬼門にあるこの寺をだ、秀忠は話に出して家康に問うた。この寺のことは天下によく知られている。
「そうなられますか」
「そうなる、それにわしが祀られて神となればな」
「権威になってですな」
「それが余計に幕府の格になるからな」
「亡くなられた後もですか」
「わしは手を打っておくからな」
「そこまでお考えとは、しかし」
 秀忠は家康の考えを理解して唸って述べた。
「そこまでされれば」
「幕府も安泰じゃな」
「長い間」
「ではな、全て手を打ってな」
「そうしてですな」
「わしはあちらの方に行く」
 死んだ後の世にというのだ。
「宜しく頼むぞ、しかし実は辰千代はな」
「やはり」
「出来ればしたくないが」
 厳しい処罰、改易及び蟄居はというのだ。
「あれでは仕方がない、幕府のことを思えば」
「どうしてもですな」
「処罰せねばならぬ」
「さもなければ示しがつきまぬな」
「諸藩、万民にな」
「身内に甘くては」
「法と仕置きは仁が必要にしても」
 秀忠も言った。
「それでも」
「公平でなければならぬからな」
「だから今も豊臣家を攻めておりますし」
「辰千代も然りじゃ、切支丹も過ぎた身勝手も許せぬ」
「その通り、では」
「うむ、豊臣家も仕置きしてな」
「辰千代も」
 秀忠から述名を出した。
「やはり」
「あの態度のままではわしの死後せよ、その手筈は整えておくからな」
「それに添って」
「せよ、さてでは今の仕置きを進めよう」
 豊臣家にもと言うのだった。
「よいな」
「これより」
「先に言った通り兵は平野の川を渡らせてな」
「城の南に集め」
「そこから攻める、そうしてじゃ」
「一気にですな」
「攻めていく」
 軍議で話した通りにというのだ。
「よいな」
「さすれば」
「降ればよし、右大臣殿はここに至れば蟄居」
 その仕置きをするというのだ。
「暫しな、そしてじゃ」
「その蟄居の後で、ですな」
「許そう。長くて十年じゃ」
 その蟄居の時はというのだ。
「大野修理が責の全てを取るであろうからな」
「あの者がですか」
「それに免じてな」
「十年ですか」
「うむ、それで許す。反省が見られたならばじゃが」
「まあそこは」
「お主の裁量じゃな」
 自分の後のというのだ。
「そこは任せる、しかし千とはじゃ」
「離縁させぬ」
「そこは頼むぞ、そして右大臣殿もそうするからな」
「辰千代もですか」
「反省の念がないなら別じゃが」
「それがあれば」
「改易、蟄居にしてもじ
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