巻ノ百三十六 堺の南でその一
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巻ノ百三十六 堺の南で
四月も終わりになろうとしていた、その中でだった。家康は大坂まであと少しのところまで迫ったところでだった。
軍議を開いてだ、こう言った。
「紀伊、八尾、若江そして都からもじゃ」
「大坂城を囲み」
「そうしてですな」
「一気に押し潰す」
「そうしていきますな」
「そうじゃ、特に南から攻める」
大坂のそこからというのだ。
「そこに多くの兵を置く」
「やはりあそこになりますな」
藤堂高虎が家康に応えた、その大柄な身体から。
「攻めるとなりますと」
「うむ、あの城を攻めるとなるとな」
「開けて大軍を動かせますので」
「あそこからじゃ、北と東からも攻めるが」
それでもとだ、家康かこちらから攻めることについては難しい顔になって述べた。
「どちらも川があるからのう」
「大坂は実に川が多いですからな」
今度は景勝が言ってきた。
「淀川にしろ大和川にしろ」
「それが城の守りにもなっておる」
実際に秀吉もそれを使って城の縄張りを行っている、川と堀を見事に合わせてこの上なく堅固な城にしたのだ。
「それでじゃ」
「北と東から攻めるよりも」
「南に軍勢の多くを置いてじゃ」
「一気に攻めまするか」
「そして大坂城の本丸まで迫る、もう裸城じゃ」
そうなっているからだというのだ。
「後は一気に攻められる」
「ですな、ああなってはです」
政宗もここで口を開いた。
「南から攻めれば」
「楽に攻め落とせる、しかし敵もそれはわかっておる」
大坂方の方もというのだ。
「だから敵も南に残っておる軍勢を置いてくるわ」
「そしてそこには」
険しい顔でだ、井伊が言ってきた。井伊直政の息子直孝である。
「あの真田殿もですな」
「間違いなく出て来る、お主と同じ赤備えでな」
「やはりそうですか」
「赤備えと赤備えで戦ってみるか」
家康は笑ってまだ若い直孝に問うた。
「そうしてみるか」
「それでは」
「うむ、その時はお主にも頼むぞ」
「それでは」
「では平野川を渡り軍勢を南に配して」
前田利常も言ってきた。
「大坂方の軍勢が迎え撃つのを退け」
「本丸まで向かう、しかし途中で降ると言えばな」
その時のことを話すのも忘れない家康だった。
「それで終わりじゃ」
「戦は」
「敵の首は歯向かわぬ限り取るな」
つまり殺すなというのだ。
「よいな」
「さすれば」
「都、奈良は押さえておる」
この二つの街は既にそうしている、家康はそのうえで軍勢を大坂に向かわしておりその途中で軍議を開いたのだ。
「では後はな」
「北と東からさらに迫り」
「そして南からですな」
「紀伊より堺の方に上がり」
「そのうえで」
「浅野家に
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