第七幕その八
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「思ったんだ」
「チェラブは女の子ですか」
「そう思ったよ」
「そうですか」
「そう思ったけれどね」
「いや、それは」
トロットがキャプテンに言ってきました。
「どうかしら」
「トロットが見るとだね」
「男の子よ」
こう思うというのです。
「仕草もね」
「そう見えるんだね」
「実際にそう思うけれど」
女の子のトロットから見ればというのです。
「どうなのかしら」
「わしは女の子だと思うよ」
「いえ、男の子よ」
「違うのかしら」
「そこはね」
どうにかというのです。
「わしはね」
「女の子に見えてなのね」
「仕方ないんだけれどね」
「その辺りがわからないわね」
「どうもね」
困るというのでした。
「果たしてどうなのか」
「私もね」
トロットもこうキャプテンに言いました。
「実際には」
「男の子だと思っていてもだね」
「確信はないのよ」
そこまで強くはないというのです。
「そうじゃないかしらって思うだけで」
「その辺りはわしもだよ」
「女の子と思っていても」
「確信はないよ」
キャプテンにしてもというのです。
「声や顔立ちから思うだけでね」
「仕草からも」
「そうだよ、けれどね」
「ひょっとしたら?」
「男の子かも知れないとも思うよ」
「そうなのね、私と一緒ね」
「本当にどちらなのかな」
首を傾げさえもするキャプテンでした。
「チェラブは」
「どちらだろうね」
このことは笑って言うチェラブでした。
「僕は本当に」
「自分ではこう言うし」
「余計にわからないのよ」
キャプテンとトロットも言います。
「皆であれこれ考えてるけれど」
「君自身では言わないんだね」
「言わない方がいいってボームさんに言われてるんだ」
他ならないその方にというのです。
「その方が不思議だからって」
「オズの国らしい」
「だからなのね」
「そうなんだ、だから言わないんだ」
「勿論私も知らないよ」
チェラブの一番の親友であり主君でもあるドウ一世もというのです。
「チェラブが男の子か女の子か」
「それをもどかしいと思いませんか?」
「いや、面白いと思ってるよ」
こうカルロスに答えるのでした。
「もどかしいんじゃなくてね」
「面白い、ですか」
「謎だからね、謎のことをあれこれ考えることがね」
「楽しいんですか」
「そう思っていてね」
それでというのです。
「そうは思わないよ」
「そうですか」
「そう、だからね」
それでというのでした。
「もどかしくは思っていないよ」
「そうですか、それじゃあ」
「私はチェラブはこのままでいて欲しいんだ」
男の子か女の子かわからないままでというのです、こう言ってでした。
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