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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第十一話 喜怒哀楽
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した可能性がある。
ただ朝食を食べるだけなら始めに厨房にいる間宮に声をかけるはずだ。しかし初霜は厨房には行かずに近くのテーブルにいた曙と潮に声をかけた。
朝食をもらってからでも声をかければいいものをもらう前に声をかけたということは、何らかの意図があったと見てもいいだろう。
一番可能性があるとするならば、初霜は『凰香と自分以外の艦娘と話せる場を作る』という意図があって声をかけたのだろう。先ほどの言動からも、それが一番しっくりくる。
まああくまで凰香の想像でしかないのだが。

「…とりあえず貴女には感謝しておきます」

凰香はポツリとそうつぶやく。理由はどうあれ初霜は好意でやってくれたのだ。それには感謝しておかなければならない。
しかし凰香の言葉は初霜に聞こえなかったらしく、初霜が首を傾げて聞いてきた。

「提督、何か言いましたか?」
「何も言ってませんよ。それよりもさっさと朝食を済ませましょう」

凰香はそう言って歩き出す。
その後ろを初霜や時雨達がついてくる。

「素直じゃないわねぇ?」

その短い道中、防空棲姫がニヤニヤと笑いながら宙を漂う。凰香は皆には聞こえないぐらいの小声で言った。

「はて、何のことやら?」
「とぼけなくてもいいのに。素直に『ありがとう』って言えばいいじゃない」
「『感謝してる』って言ったんだから問題ない」

凰香はそう言うが、防空棲姫は相変わらずニヤニヤと笑ったまま宙を漂う。 凰香は気にすることなく厨房に向かう。
厨房に近づくと、案の定渋い顔をした間宮が出迎えてきた。

「提督……もう少し時間を考えてくれませんか?」
「それならこっちのちんちくりんに言ってください。私も朝早くから叩き起こされたので、まだ眠いんです」
「ちっこいのじゃありません!!初霜です!!」

凰香があくび混じりに間宮にそう言うと、傍らの初霜が頬を膨らませて抗議してくる。
しかし凰香が知らん顔していると、間宮が盛大な溜め息をこぼして厨房へと続く道を開けてくれた。

「どうも」
 
そう間宮に頭を下げて、凰香達は素早く厨房に滑り込んだ。
標的が自分が立ち入れない範囲に逃げられた初霜は厨房と食堂を繋ぐ机に乗り出し、今まで見たことないほど大きく頬を膨らませて睨み付けてくる。
よくああいう?を潰したくなるというが、なぜ潰したくなるのだろうか?凰香にはさっぱりわからない。
 
「初霜ちゃん、今日は演習だったわよね?」
「……そーですよ」
 
間宮の問いに、初霜は凰香を睨み付けながら不貞腐れ気味にそう答える。
そういえば昨晩金剛が『明日演習がある』と言っていたことを思い出す。演習内容まではわからないが
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