第十一話 喜怒哀楽
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二人が座っているテーブルに近づいた。
「曙さん、潮さん。おはようございます」
初霜が近付くテーブルには、弾薬を口に運んでいる曙と潮が座っていた。
名前を呼ばれた曙と潮は顔を上げて初霜を、そして凰香達を見た。無論、凰香を見た瞬間二人の表情が歪んだのは言うまでもない。
「ケダモノ!!また雪風ちゃんを!!」
「潮、他の子に迷惑よ」
もはや恒例行事と呼んでもいいような、凰香に突っかかろうとする潮を隣に座る曙が冷静に嗜める。曙の言葉に潮は開きかけた口をぐぐっと押さえ込み、目だけで凰香を睨み付けながらゆっくりと席に座る。
凰香も潮を叩きのめそうとした時雨を手で制した。
「……何であんたがここに居るのよ?」
「初霜さんに連れられて朝食を取りに来ただけですが?」
心底嫌そうな顔で問いかけてきた曙に凰香は無表情で答える。
すると凰香の言葉に曙が息を呑み、直後に小さく嘲笑してくる。
「あんたが?ここで?なに?弾薬でも食べるつもり?」
「違いますよ?提督は自分でご飯を作るんです」
「はぁ!?」
嘲るような曙の言葉に初霜が答えると、曙はそう叫びながら机を叩く。そしてその勢いで立ち上がり、深いシワを刻んだ顔で凰香に詰め寄ってきた。
「なに!?艦娘あたしたちへの当て付け!?自分だけ美味しいもの食べて、それをわざわざ見せつけに来たの!?最っ低!?ふざけんじゃないわよこのクソ提督!!」
先程潮に回りに迷惑だから落ち着け、と言ったヤツとは思えないほど声を張り上げて突っかかってくる。
むしろそんなめんどくさいことをやるのはまっぴらごめんだ。まあそのことを言ったところで曙は聞く耳持たないだろうが。
「まったく何考えてるの!?少しはあたしたちのこと考えて行動しなさいよね!!大体ーーー」
「曙ちゃん」
顔を真っ赤にしながら凰香に詰め寄る曙に、いつのまにか立ち上がっていた潮がそう言いながら肩を置く。それに曙は歯向かおうと顔を向けると、何故か顔を強張らせて押し黙ってしまった。
「行こう」
潮はそう言いながら大人しくなった曙の手をとり、凰香達の横を抜けて食堂の入り口へと歩き出してしまう。
彼女が凰香の横を通る瞬間、凰香は潮の眼を見た。
潮の眼は、昨日金剛が浮かべていたものと同じ何の感情も感じさせない『兵器』の眼だった。
潮は曙の手を引いてそのまま食堂を出ていってしまう。
しかし凰香は後を追おうとせずに後ろ姿を見送るだけであった。
「……残念でしたね」
曙と潮の後ろ姿が見えなくなると、初霜が残念そうに肩を落としてそう言ってくる。
この言葉から察するに、初霜は凰香達が艦娘達と打ち解ける場を設けようと
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