第十一話 喜怒哀楽
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て、どうしたものか)
朝食をどうしようか考えていた凰香は、ふと初霜の視線を向ける。
初霜は相変わらずニコニコと笑顔を浮かべており、その目には昨日の金剛が浮かべていたあの色はなかった。
しかしそれは凰香を油断させるもので、本当は凰香のいないところであの色を浮かべているかもしれない。
(この子はよくわからないわ)
初霜はよくわからない艦娘だ。
他の艦娘が凰香のことを敵視しているにもかかわらず、初霜は凰香のことを敵視せずに接してくる。それはこの鎮守府内では異様であり、異常であった。
そして今も浮かべているこの笑顔。それが本心なのか、仮面なのかもわからない。
だから凰香は初霜のことがよくわからなかった。
とはいえ今はそんなことを考えていても仕方ない。目下の目標はこの鎮守府を建て直すことである。それが終わり次第、凰香はさっさとこの鎮守府から立ち去るつもりでいる。
「とりあえず着替えて皆を叩き起こしますから、初霜さんは先に行っててください」
「では部屋の外で待っていますね」
「いやいや、皆いつ起きるかわかりませんから先に食堂に行ってて構いませんよ」
「大丈夫ですよ。皆さんが起きるまで待つことくらい朝飯前です」
凰香の言葉に初霜はめげることなくニコニコと笑顔を浮かべながらそう返してくる。これは何を言っても引き下がらないだろう。
凰香は諦めたようにため息を吐くと、ニコニコと笑顔を浮かべている初霜に言った。
「……わかりました。では部屋の外で待っていてください」
「了解しました。では部屋の外で待機しています」
初霜はそう言って敬礼すると、部屋を出る。
凰香はもう一度ため息を吐くと、今だに寝ている皆を叩き起こすのだった。
………
……
…
時雨達を叩き起こした凰香は初めて出会った時のように初霜に手を引かれて食堂へと向かっていく。
その間に初霜は多くの『表情』を見せた。
凰香が起きたことによる喜びの顔に凰香達に興味を示す顔、そして共に朝食を取れることに喜ぶ顔。
それらは全て生あるものが持つ『喜』と『楽』そのものだ。
(むしろ私の方が『兵器』っぽいんだよね)
凰香がそんなことを思いながら初霜に手を引かれていると、食堂に辿り着いた。
中を覗いてみるとピークは過ぎ去ったようだが、まだわりと艦娘が残っていた。どうやら来るのがまだ早かったようだ。
その艦娘達はと言うと、相変わらず凰香の姿を見た途端食べるスピードを上げている。
(ほんと、めんどくさい)
凰香がそう思っていると、とあるテーブルに見覚えのある艦娘二人が座っている姿を見つけた。
初霜もその二人の艦娘に気がついたらしく、
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