第十一話 喜怒哀楽
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「たかが『人間』風情と、ワタシ達を一緒にするんじゃねえよ」
何処までも続く真っ暗な空間の中、金剛の言葉が響き続ける。それと同時に凰香の目の前に金剛の顔も浮かび上がる。
睡眠中にもかかわらず凰香は少女とは思えないほど冷静な頭で考えるが、一向に金剛が前任者が強いた所業である食堂の件を引き継いでいる理由がわからない。食堂の件を引き継いだところで金剛にメリットがないのは一目瞭然である。
しかし現に金剛はそれを強いている。それの理由に凰香には思いつかないメリットがあるのか、はたまたメリットよりも優先させるべきものがあるのか、それともその両方ではない何かがあるのか。いくら考えても、凰香が納得できる答えが考えつかない。
そしてその言葉を放った時の金剛の顔。
純粋な殺意に満ちたその表情は、奇しくも家族と友達を殺され怒りと憎しみに支配されていた時の凰香と同じだった。
………
……
…
「提督!!起きてください!!」
突然怒号が響き、その直後に何者かが凰香の身体を揺さぶってくる。
何者かに揺さぶられた凰香の思考はそこで止まり、真っ暗な空間に光が差し込んでくる。
「こんな朝っぱらから誰ですか………」
凰香は軽くぼやきながら眼を開ける。すると目の前には初霜がいた。
「初霜さんですか……」
「おはようございます、提督!」
寝惚けて若干霞む視界の中で、初霜が素早く笑顔で敬礼する。その肩にはいつもの妖精が彼女と同じように敬礼していた。何度見ても、本当の姉妹のように思えてくるから不思議である。
「おはようございます。ところで初霜さん、どうやってこの部屋に入ってきました?」
「え?普通に入り口からですよ?ドアが吹き飛んでて有りませんでしたし。何かあったんですか?」
初霜が首を傾げながらそう言ってくる。
それを聞いた凰香は、昨晩久しぶりにキレて扉を殴り壊したことを思い出す。
(修理しないといけないな)
凰香はそう思いながらさりげなく部屋を見回す。
凰香の隣では時雨が、反対側のベッドには榛名と夕立が、椅子には防空棲姫がそれぞれ寝ている。初霜が防空棲姫に気がついていないことから、初霜の目には防空棲姫は写っていないようだ。
「いや、気になっただけです。あと、こんな朝っぱらから何の用ですか?」
「はい、提督の朝食に同席させていただきたく、馳せ参じました」
凰香の問いに初霜が清々しい笑顔でそう返してくる。完全に朝食をタカる気満々であった。
しかし昨晩のカレーは余っていないので、凰香達は朝食を何にしようかも考えていない。というよりも、適当にコンビニのサンドウィッチか何かで済まそうと考えていた。
(さ
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