ペルソナ3
2044話
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「ほら、これ」
「うむ、悪いな」
映画村を出た後、少し休憩するという事になり、ちょっと離れた場所にあった公園で休む事になった。
そんな美鶴に、俺は空間倉庫から取り出した、ペットボトルの紅茶を渡す。
秋となってそれなりに寒くなってきているのだが、今日は秋晴れで結構暖かい。
おかげで、こうして公園にいても特に問題なくベンチでゆっくりとする事が出来ていた。
「それで、どうだった?」
「……色々と面白かったのは認める」
不承不承といった感じで、美鶴がそう言う。
照れ隠しにそう言っているが、美鶴が映画村を思う存分楽しんだというのは、あの写真を撮った時の光景を思い出せば明らかだろう。
それに、本人もつまらなかったではなく、面白かったと言ってるのだから、その辺は間違いない……と、思いたい。
「楽しんで貰えて良かったよ。……それで、今日はまた、何で俺と一緒に回りたいなんて事をゆかりに言ったんだ?」
「その……もしかして迷惑だったか?」
いつもの、自信に満ちている美鶴とは思えない程に気弱な表情。
そんな美鶴の様子を珍しいと思いつつ、俺は首を横に振る。
「いや、そんな事はない。俺も美鶴と一緒に色々と見学出来て嬉しかったしな。ただ、純粋に疑問だっただけだ。まさか、一緒に回る相手がいない訳でもないだろうに」
美鶴は、俺が知ってる限り月光館学園でももの凄い人気を持っている。
人気という意味では有里も相当のものだが、有里の場合はやはりまだ転入してきてから1年も経っていないというのが影響している事もあって、どうしてもその人気は美鶴に及ばない。
だが、美鶴は中学生の頃から月光館学園にいたという事もあり、その名前は広く知られている。……そう、まさにネームバリューの違いと言えば、分かりやすいか。
それだけに、美鶴が自由行動で誰からも誘われなかったという事は有り得ない。
そんな美鶴が、何故わざわざ自由行動の日を俺と一緒に行動しようとしたのか。
勿論、俺と美鶴の関係が悪いとか、そういう事はないので、こちらとしても全く問題はなかったのだが……それでも、何故? と、そう疑問に思ってしまうのは間違いない。
「なぁっ!?」
そして意外な事に……本当に意外な事に、美鶴は俺の口から出た言葉を聞くと、あからさまに動揺した。
いや、何でそこで動揺する?
そう疑問に思うも、ここで何かを言えば余計に美鶴を動揺させる事になるだろうと判断し、落ち着こうとしている美鶴の様子をただじっと見つめる。
そうして、数分……やがて美鶴も落ち着いたのか、座っていたベンチから立ち上がり、俺の前に立つ。
真剣な様子で俺を見ている美鶴に、俺もこのままベンチに座っているのは色々と不味いだろ
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