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蒼穹のカンヘル
三十一枚目
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、俺がイーヴィル・ピースを一揃い欲しいだけなんだがな。
黒歌、手をだしてくれ」

黒歌が伸ばした手を、握る。

「いけるな、セルピヌス」

『無論だ』

俺の意匠に関係なく、俺の手と黒歌が結晶に包まれた。

「姉様!?」

「案ずるな」

黒歌が結晶化していたのはほんの数秒。

すぐに結晶が砕け、無傷の黒歌が出てきた。

砕け散った結晶は黒歌の胸の前で収束し、翡翠のビショップと化した。

「これで、黒歌は悪魔ではなくなった。
さぁ、好きな道を選ぶといい」

すると黒歌は数瞬悩んだ素振りを見せた。

「私は少年の部下になるにゃ。
ただ、その代わり白音をグレモリー家で預かって欲しい」

なるほど。

「リーアちゃん、聞いてた?」

「聞いてるわよ。その子を家で預かればいいんでしょ」

もふる手を一切緩めず、リーアちゃんが答えた。

少し不安だな…

あぁ、それと…

「要するに、仮に俺がお前の前の主と同族だった場合の保険って事だろう?
ただ、言いたくはないが、もしグレモリー家が前の主と同族だったとしたらどうする?
俺はグレモリー家がそんな事をしないとわかっている。
だが、お前がそう決めた根拠を聞かせて欲しい」

黒歌を真っ直ぐ見つめる。

琥珀のような深みのあるその瞳もまた、俺を真っ直ぐ見つめている。

「瞳を見れば、わかるにゃ。
少年と、その赤髪と、白龍皇の目は、真っ直ぐで純粋…悪意を持たない者の目にゃ」

「それだけか?」

「十分すぎる理由だと思ってるにゃ」

「そう言うのなら、お前を俺の部下にしよう。
白音はなにかあるか?」

白音の方を見ると、ピクンと体を振るわせた。

ちょっと怖がらせてしまったようだ。

「……時々。時々でいいですから、姉様に会わせてください」

「わかった。時々と言わず、毎日でもいい。
家族は大切にするべきだ。
それと、君が悪魔となってリー…リアス・グレモリーに仕えるか、それとも別の形を取るかは、リアス・グレモリーとよく相談するんだ。
いいね?」

「は、はい!」

「これで話は以上かな。あ、リーアちゃん。
今日だけでも黒歌と白音を同じ所に泊めてあげたいんだけど」

あいも変わらず羽をもふってるリーアちゃん。

「白音を泊めた部屋に泊めてあげるといいわ」

「じゃ、そういう事だ黒歌。あした迎えに来るぜ」

席を立つと、リーアちゃんが不機嫌そうにこっちを見つめていた。

「もう帰るのかしら」

「用事は済んだしいつまでも居たら迷惑でしょ?」

「リーアお姉ちゃん」

「ええ、客室は開いてるわ」

は?

するとヴァーリが通話魔法を展開した。


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