暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#6
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だろう。あの人にとってユナはどこまでいってもただのデータクローラーで、ただの――――人工知能なのだから。

《計画》のための必要条件であり、絶対条件ではない。

その程度の存在。

代わりはその気になれば創れるし、邪魔となればボタン一つでデリートできる。

それだけの、存在。

罪悪感が背筋を這う。

自分の表情筋が今どんな完成図を描いているのか分からなくなった鋭二は、逃げるように無理矢理少女から目線を外した。

爽やかな仮想の大気が肺を満たしても、気分はまるで晴れない。それも当然か、五感の全てをデジタルに委ねるVRとは違い、AR技術というのはあくまで視覚情報が基幹部分だ。薄暗く、空調も切って年明けの研究室の底冷えした空気と、視覚に映る雄大な自然はあまりにも乖離している。本能とかではなく、理屈の時点で身体が違和感を覚えているのだ。

まるであの世界から逃げ出し、ARに閉じ籠った自分を煽るかのように、と。

そんな自虐的な思惟を巡らせていた鋭二に、

「エイジ、私……歌うから」

「……え?」

脈絡もない言葉が耳朶を震わせた。

思わず振り返ろうとすると、それよりも早く背後から手が伸びてくる。実感を伴わない幻影の腕は抱き留めるように鋭二の身体を包んだ。

「ゆ、ユナ?いったい――――」

「私、歌う。エイジの言う通り、エイジの望む通り、私は私の在るべき姿に戻るよ」

ぞわぞわ、と。

望んだ言葉。満足するべき言葉。

そのはず、そのはずなのにもかかわらず、指の間を不安が這うような言葉を少女は吐く。

それに対する具体的な返答を鋭二が答える前に、ユナは小さく、だが確かな呟きを宣言するように囁いた。

「私はどこにも行かないよ」

その一言は、電光に撃たれたように鋭二の身体を竦ませた。

何かを言いかけた気がするが、それら全てが吹き飛ぶような衝撃が脳裏を揺らした。思わず立っていられなくなってしゃがみこんだが、そこで小さな煌めきが視界を落ちていくのが見える。

限界だった。

青年は、静かに嗚咽をこぼした。それはやがて決壊したように断続的になっていく。

寄り添う少女は何も言わなかった。

ただそれを、慈しむように見ていた。

いつまでも。

いつまでも。

いつまでも。










やっほーい、ユウキちゃん。

あ、アレちゃんとテオドラちゃんに届けてくれた?おっけー?中身見てないわよね?

……わーありがとありがと!さんきゅーさんくすゆあうぇるかむ!あとでお姉さんお手製の特製カクテルを奢ってやろー!

材料費込み込みだと結構しちゃうから、原価回収だけでもタイヘンだから普段はほぼほぼ自分で楽しむ用くらいしか作
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