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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica15-A局員狩り〜Secret Maneuvers〜
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グショになってるかもしれない顔を上げて、お兄ちゃんの顔をしっかり見つめながら名乗った。するとお兄ちゃんは「え? あ、えっと、い、妹と同じ名前なんだね? いい名前だよね?」って困惑に満ちた声でそう言った。違う、って言おうとしたけど、それより早くお兄ちゃんは悲しそうな表情を浮かべて、こう漏らした。

「いやでも、君は名前だけでなく外見も、どことなく妹を思い起こさせるよ。うちの妹って11歳だったんだけど、妹が成長して大人になれば、たぶん君くらいの美人になっていたと思う」

(だった・・・? なっていた・・・? 何で過去形?)

出逢えた嬉しさや不可思議な台詞などであたしが混乱する中、スバルがあたしに代わって「なんで過去形なんですか?」って聞いてくれた。そしてお兄ちゃんの口から、信じられない事が語られた。

「妹は、ティアナはね。7年前、局と魔導犯罪者の魔法戦に巻き込まれて死んだんだ・・・」

「「っ!?」」

「ミッド魔法発祥の地であり、全管理世界の地上部隊の総本部のお膝元ということで、当時の防衛長官レジアス・ゲイズは、結界を張ること即ち怠慢である、としていた。しかも管理局法自体が、結界の無断発動を許可できないときている。その所為で! 僕の妹は! 魔導犯罪者の流れ弾に当たって!」

お兄ちゃんの表情が今まで見たこともないような怒りに歪んだ。ここまで感情を吐露するお兄ちゃんははじめて見たから、あたしは二の句が告げなかった。ここでまたスバルがあたしを助けてくれた。

「それ間違った記憶です! ティアは、ティアナ・ランスターは生きてます! ここにちゃんといます!」

そう言ってスバルがあたしの腕を引っ張って立ち上がらせてくれた。そして「ほら! ティア!」ってあたしの背中をドンッと叩いて、お兄ちゃんの胸に飛び込ませた。

「えっと、あの、その・・・!」

お兄ちゃんの顔を見上げて、あたしは息を呑んだ。さっきは局や管理局法への怒りで歪んでた顔が、今はあたしやスバルへと向けられていた。そして「よしてくれ」って冷たい声で呟いた。

「確かに君は、妹と同じ名前で顔も髪の色も似てはいるが、(ティアナ)じゃない・・・! 見てくれ、あの子の墓を!」

お兄ちゃんが指差した方には、お兄ちゃんの墓石が立っていた。でもよく見れば墓石に刻まている名前はティーダ・ランスターじゃなくて、「あたし・・・!?」の名前へと変わっていた。前回ここへ来たのは、ルシルさんからお兄ちゃんの事を聞かされた時。その時はいつもと変わらず、お兄ちゃんの名前が刻まれていた。

(いつの間に・・・! というか誰があんな事を!)

決まっている。どんな手段を講じたのかは判らないけど、最後の大隊の誰かが墓石を換えたに違いない。お兄ちゃんの記憶を弄って、利用して・・
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