第10話 新たな光への覚醒
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そして、彼の歯は少し尖り始め、腕から鱗みたいな模様ができ、筋肉が少し逞しくなる。
これこそ、ラクサスの滅竜魔法を使う時の状態であり、今コントロールできた姿。
まだ極めたらこの状態がなくなるが、今はこれが最高の力を出せる姿である。
そして、片方のレッドは――――
「…ハァアアアアッ!!」
拳を握り、さっきまで白かったオーラを高め、周りには小石が浮き――オーラは黄金へと変わる。
眼は白目に向いたように消え、そして黄金のオーラの周りに浮いていた石ころが重力に従い落ちていく。
S級試験で身につけた未完成の状態だが、前よりは継続する時間が長くなった。さっきよりも数十倍くらいには力が上がっている。
両者共、強化した姿を確認した後に頷き合い、デーモンへと視線を向ける――――
が、いつのまにか目の前に移動していたデーモンに反応を遅れたことで、二人共は地面へと殴り倒される。
「――――がはっ!?」
「――――くァ…ッ!?」
二人から苦しげの声が出るも、デーモンは暇を与えず二人の足を掴んで上へ勢いよく持ち上げ、二人をぶつける。
そして勢いを持って二人の足を持ったまま体を素早く回転を続け――――上空へと投げる。
二人は先ほど一緒に回ったことで目がまわり、目眩を起こすことですぐに動くことができない。
その隙に、デーモンは彼らに掌を向け、その手から黒く、小さい光を生み出し――――二人をまとめて巨大なエネルギー砲を放った。
――――やられる…このままじゃァ…ッ!!
先に回復したのはラクサスだった。そして今の状況を知り、このままでは二人まとめてやられてしまう。
――――ダメだ、それじゃこのバケモンに負けて、終わってしまう。
負けた後にどうなるか知らないが、恐らく自分では耐え難いことをされるに違いない。あの女から見られた目は、同じ存在を見る目ではなく虫を見る目―――これでは生きてギルドに帰れるか怪しい。
なら、どうすればいいのか。どうすればギルドに帰れるのか――――大丈夫だ。
隣にまだ目眩で目が回っている親友をちらっと見る。
――――コイツは、この状態でもオレより強くなっている。やっと同じ舞台に立てたと思ってたが…。
本来の彼の性格ならそれは許せないだろう。原作としての初期の彼は「最強」として拘っている通り、気に食わない存在として見られることがあり得たかもしれない。
――だが、今のラクサスにはそれはない。むしろ自分より強いと確信している親友に安心して任せれる――――という絶対の信頼があった。
救われたんだ、コイツには。
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