第12話 鬼畜王戦争の記憶U
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制転移魔法だと言うのなら、何処かへと飛ばされてしまうのは目に見えていた。
『っっ! ふせげ……ないっ!?』
ハウゼルは、瞬時にそれを理解し、サイゼルを引っ張って逃げようとしたのだが、まるで溶接でもされたかの様に身体が離れなかった。
そして その転移の光が自分達を包み、軈て全てが消失する刹那の時間に聞えてくるのは、眼前の男の言葉。
『先程の力――。ラ・バスワルドの力を今の状態で体現したか。見事だ。ハウゼル、サイゼル』
それは まさかの賛辞の言葉だった。
そしてもう一度聞こえた。それが……最後だった。
『人間達はお前達に殺らせない。彼女達の命を奪おうと言うのなら、このマスク・ド・ゾロが全てを止めよう。魔の王に、……ランスにそう伝えよ。魔人たち』
次の瞬間には、まるであらかじめ決められていたかの様に、とある場所に移動させられていた。飛んでいたのにも関わらず、しっかりと立っていて 目が慣れた頃には何処に飛ばされたのかが分かった。
そう――ここはアメージング城。更に言えば魔王の玉座の間。
その玉座に鎮座しているのは魔王ランス。
あからさまに不機嫌な様子だった。普段の魔王ランスであれば、ハードなお仕置きが待っている……と青ざめる思いなのだが、近ごろは魔王化の傾向が激しく、もう殆ど魔王の血に支配されている状態だ。そんな魔王ランスを見たからこそ、サイゼルは死を覚悟した程だった。
だが、意外や意外。お仕置きも何もなく、全くのお咎めなしで終わった。
そして、サイゼルやハウゼルが知る由もないが、その理由はただ1つだった。魔王ランスも悟ったからだ。ハウゼルとサイゼルに何があったのかを。……そう、あの男がまた現れたのだと言う事を。
全てが終わった。魔人たちを撃退する事ができ、ゾロはランス城へと降り立つ。
非戦闘員のヒーラーたちも集まり、どうにか全員が無事だったのを確認したゾロは、ほっと息をつく。
『皆、無事で何よりだ。では、私はこれで――』
そして、そのまま去ろうとしたその時だった。
『いや、まだ帰ってもらう訳にはいかぬな。貴様とは少々話したい事があるのだ。――ゲート・オープン』
『……?』
ゾロの後ろに、ミラクルが異界へとつながるゲートを展開させた。
『ふはははは! 今だ! 余の配下たちよ!』
ミラクルの号令もあり、一斉にゾロをゲートへと押し込む。魔法を使って身体能力を上げた志津香が。城内を掛けまわり、皆の世話をしていたヒトミが。同じく、先ほどの戦いででは傷もあり、参戦出来なかったが、その身体
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