第12話 鬼畜王戦争の記憶U
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先端部分が輝き出す。
『なんでアンタに効かないのか知らないけどね! 絶対、ぜーーーったい当ててやる! 魔法を消す? いや二つに割った? 何したか知らないけど、何かトリックがあるんでしょ!? 大体そんな事出来るやつがいる……わけ、が……、……ぁっ!?』
怒りのままに声を上げていたサイゼルだったが、自分が口走った事で、ある可能性を見出していた。そう、先ほどの魔法を、最大最強の魔法をこの男は消滅させた。
左右にあの光が分かれ……消滅した。そう、消すと言うよりは割る。……否、まるで魔法を斬ったかの様だった。そんな真似ができるのは、長く生きた時間の中でも1人しか知らなかったから。
『まさか、姉さん。……彼は』
『……そ、そんな訳あるか! アイツはもうずっと前から行方不明! 生きてるか死んでるかも判らない状態だって聞いてる!』
ハウゼルも同じ気持ちだった様だ。だが、認めたくないのか、サイゼルは 最後まで言っていないハウゼルの問いに首を思い切り左右に振った。
頭に確かに過った。脳裏に、あの10年ほど前の記憶が蘇った。
妹のハウゼルを助けた。妹だけではない。当時 魔人ケイブリスに敗れ、幽閉されていた魔人ホーネットまで救い、最後は人類を勝利へと導いた男の姿を。
現魔王ランスと肩を並べていた一世代前の人類の英雄の1人。
中でもハウゼルの衝撃は大きい。
当然だろう。最初見た時は全く連想しなかった。自分が知っている彼とは程遠い印象だったからだ。あんな格好をしてたりしないし、あんな言動だってしない。ただ出鱈目に強い、と言う噂以外は共通点がなかったから。
だが、一度でも連想させてしまうと、もう止められなかった。
大恩のある相手――とこの戦いが始まる前にサイゼルに言っていたが、その中でも突き抜けている、と言って良い程の恩がある。返しても返し切れない程の恩がある。あの時の主ホーネットを救出。主を盾に取られ、やむを得ず魔軍に従い、リーザス侵攻をさせられていた自分、ラ・ハウゼル、そして魔人四天王の一角シルキィ・リトルレーズンを解放してくれた人物。
人間と言うものを心から信頼し、心から尊敬した初めての相手。
『ば、ばか! ぜったいに違うって! 見ろハウゼル!! あれ、だろ!? かお、かおが違う!』
『……い、いえ、マスクをしてて、お顔までは確認が出来てないでしょう?』
『だーかーら、そのマスクが一番の理由だって! あんな変なの、アイツ付けてなかったでしょ!? あんな変人格好の趣味なんか無かったでしょっ!?』
物凄く失礼なことを言っている、のだが とりあえず行動。
あーだのこーだの言っている間、ずっと待つ義理は無いのだから。
ゾロは、両手を構えた。
『右手に炎の
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