第12話 鬼畜王戦争の記憶U
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んだ。無茶苦茶な戦闘力を持ってるって言ってたけど……。あーーー、折角完成した魔法だったのにぃぃぃ!! せーーっかくハウゼルと頑張って完成させたのにぃぃ く、くやしいぃ! あんなの、ただ人間が作ったデマだってお、思ってたのにぃ!!』
きぃぃ、と地団駄を踏む……事は、宙にいるから出来ないが、まるで空気を蹴っているかの様に聞こえてきたのは気のせいではない。先程の絶望感が漂う空気が台無しになってしまっているが、それ程までに悔しかった様だ。
『さて、私が時間を稼ごう。他の者達は負傷者の手当てを。そして、一度態勢を整え直すのだ』
サイゼルがパニックを起こしている隙に、ゾロは満身創痍の状態の討伐隊に向かって言った。死者こそは出ていないが、長時間の戦い。攻撃は通じず、ただ只管防ぐだけの戦闘。身体よりも精神に重くダメージが残った事だろう。
魔剣や聖刀と言った対魔人武器を持っていない状態での魔人との戦いは絶望の二文字だ。人間よりも遥かに強固な身体を持った闘神たちでさえ、かすり傷1つ付けられず、最後は敗北した歴史があるのだから。
だが、ゾロの指示を――そのまま実行に移す者はいなかった。
あの光の魔法を放たれたその瞬間から、死を覚悟した者も多く、助かった、と意識できていないのかもしれない。……特に前衛を務めていた戦士達は、後衛の者達を何度も庇った事もあり、相当な重症を負っているからだ。
そして、これは事前にもミラクルが言っていた事だ。恐らくこの男、マスク・ド・ゾロは今回の魔人戦で現れるだろう、と。だが、激しい攻撃の嵐の中で、懸命に防ぎ、防衛を続けていて、それらを考えている暇など無かった。
だから 少し放心してしまった、と言える。
『ヘルマンの長。シーラ・ヘルマン』
『っ……、は、はい』
『この中で動けるヒーラーは君だけだ。無傷とは言い難く、辛くきついかもしれないが、今の内に早く対処を。このままでは死者が出るかもしれぬぞ。ここは私が請け負った』
『わ、わかり……ました』
瞬時に全員の状態を確認したのか、ゾロはシーラに指示を出した。指名されたからか、或いは声を掛けられると思ってもいなかったからか、シーラは最初こそは驚きの表情をしていたのだが、直ぐに気を引き締め直した。最低限の治癒を自身にかけて、後は全員を助ける為、ヒーリングを使用した。
それを見届けた後、改めてゾロは魔人姉妹の方を見る。
『ふんだ、ふんだ、ふーーんだ!! こっちは空から攻めてるのよ!! どんだけ強かったって、届かなきゃ意味ないってもんよ! じわじわ追い詰めて、ぜーーーったい殺してやるんだから!』
魔人ラ・サイゼルの怒りが武器に宿るかの様に、出力が増した。絶対零度近い冷気が周囲の空間を包み込み、軈て武器の
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