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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十話 カロリーネ皇女殿下の決意です。
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った記憶はあるが、それが何だというのだろう。
「隣、いいですか?」
 女性は返事を待たずに軽やかな身のこなしでベンチに座り、すらっとした白い手足を伸ばした。
「何かお悩みですね?」
「・・・・・・。」
「それもあまり人に知られたくはない悩み、ですか?」
「・・・・・・。」
女性はカロリーネ皇女殿下に尋ねているが、それでいて視線は青空を眺めている。
「気分が乗らないようでしたら、質問を変えましょうか。何故原作に倣ってフィッシュアンドチップスを買わなかったのですか?」
「アッチィッ!!!」
カロリーネ皇女殿下は悲鳴を上げた。コーヒーカップが膝の上にこぼれてスラックスに染みを作っている。
「まぁ、ごめんなさ――。」
「あなたは誰!?」
さっと立ち上がったカロリーネ皇女殿下は身構えた。
「私のことを知っているという事は、あなたも転生者なの!?それともあの人の差し金!?」
シャロンが何か超魔術的な作為で自分の所在を知って差し向けてきた――。そんな風に考えてしまうほど、カロリーネ皇女殿下はシャロンに対して日夜神経を使っていたのだ。
「何か・・・怒らせましたか?それに、転生者って、一体何の事です?」
女性はきょとんとした表情をする。
「だって、原作って――。」
「あら、知りませんでしたか?ここはワーズリー女史の執筆した『フォーミダブル』というベストセラーの舞台にもなっている場所なのです。」
「・・・・・・・・。」
カロリーネ皇女殿下は振り上げた拳を盛大に空振りした気持ちにさせられた。何のことはない。自分が盛大に勘違いしただけではないか。
「・・・というのは冗談です。私の申し上げた原作はあなたの考えている物そのものですよ。」
女性は楽しそうにその単語を口にした。
「銀河英雄伝説。いい響きだと思いませんか?」
「―――――!!」
カロリーネ皇女殿下は唖然となった。
「そんな、そんな・・・・!!じゃあ・・・・あなたは、まさか!?」
女性は指を一本立てた。喋るなという意味だったがその動作には少しの焦燥感も緊張感もなく、むしろさわやかさがあふれ出ていた。
「今この世界で、正確に言えばこの自由惑星同盟において何が起こっているのか、はっきりしたことは言えませんが、元凶はあなたにもわかっているはずでしょう?」
カロリーネ皇女殿下はこっくりとうなずく。そう、言われなくてもわかっている。転生者であれば、そして心ある人間ならば絶対にこの異変を察知できないはずがない。自由惑星同盟において原作の登場人物をはるかにしのぐ圧倒的なオーラで自由惑星同盟全土を掌握し、そして今まさにラインハルトたちを滅ぼそうとしている――。

「元凶はあなたですよ。」

思いもよらなかった言葉が飛び出した。カロリーネ皇女殿下は自分の胸の前にさされた指先を見
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