17部分:ファフナーの炎その十六
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新型兵器とはいえ一隻の艦艇の攻撃で退けられるのか。とてもそうは思えなかったからである。
だがヴァルターは信じていた。これでファフナーを倒せると。自信に満ちた顔でまた指示を下す。
「砲撃用意」
「砲撃用意」
「照準を合わせろ」
「了解」
部下達が復唱し、照準を合わせる。照準は完全にファフナーは捉えた。そこで幕僚の一人がヴァルターにリモコンのスイッチを手渡した。
「主砲のか」
「はい」
その部下は頷いて答えた。
「司令御自身で決めて下さい、決着は」
「済まないな」
エヴァ、そしてニュルンベルクのことである。あの時最も無念の涙を飲んだのは誰だったのか、部下達は知っていたのである。守るべき星を、民を、そして婚約者を奪われたのだ。ヴァルターこそ最もファフナーを憎む者であった。
そのファフナーが今目の前にいる。ならば何をするべきなのかわかっていた。
彼は躊躇わなかった。そのスイッチを手に持った。そしてボタンに手をかけた。
「いいな」
「はい」
幕僚達がまた頷く。
「何時でもどうぞ」
「わかった。では」
「お願いします」
指に力が入る。思いきり押そうとする。今全てが決まる、ヴァルターの全身に稲妻が走った。
「撃て!」
「撃て!」
命令が復唱される。艦が大きく揺れた。今ミョッルニルが放たれたのであった。
数条の光が黒竜に突き進む。そして一撃を加えた。光が竜を包んだ。
「やったか!?」
部下達はファフナーを見た。期待と不安の入り混じった顔であった。若し効果がなければ。だが一人冷静なままの男がいた。
「大丈夫だ」
ヴァルターであった。彼は自信に満ちた笑みを浮かべモニターに映るファフナーを見ていたのであった。
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