ペルソナ3
2040話
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「気にしないで、ここ最近はよくある光景だから。……そう言えば、風花が彼と会うのは初めてだっけ?」
ゆかりの言葉に、そう言えばそうだったか? と思い出す。
実際山岸は何度となく俺達の教室には来ている。
だが、その度に望月はクラスの女達とどこかに行ったり、何らかの理由で教室の中にいなかったりと会う機会がなく、これが初遭遇だったのだろう。
「うん。話には聞いていたけど……ちょっと驚いた」
「すぐに慣れるわよ。それで、私に何の用?」
「あ、そうだった。その……あの映像のマスターデータを発掘する事に成功したらしくて」
「っ!?」
ゆかりの表情に一瞬だけだが緊張が走る。
映像……という風に言われて思い出すのは……ああ、ゆかりの父親の映像か。
幾月が映像を改ざんしたのだが、どうやら改ざんする前のデータも残っていたらしい。
わざわざ消去するのが面倒だったのか、忙しくてそれどころではなかったのか。
褒めるのはどうかと思うが、俺達を騙していた幾月は非常に忙しい日々を送っていたのは間違いない。
理事長、寮長、研究者、そして裏切りに関して。
とてもではないが、1人でそう簡単にこなせるというものではない。
それをこなしていたんだから、何だかんだと幾月が優秀だったのは間違いないのだ。
これで馬鹿な事を考えないで、普通に桐条グループの人間として働いていれば、あんな惨めな最後を迎えることもなかっただろうに。
自業自得だけどな。
「アクセル、悪いけど今日の予定はキャンセルで」
「ああ、分かった。ゆっくりとしてこい」
短く言葉を交わすと、ゆかりはそのまま教室を出ていく。
本来なら、ゆかりと一緒に美味いケーキを出す喫茶店に行くって予定だったんだが……ゆかりの父親の件となれば、それがキャンセルされるのも当然だった。
ゆかりにとって、それはかなり大きな出来事なのだから。
ともあれ、去っていくゆかりと山岸を、望月は少し残念そうに見送る。
……が、その顔に浮かんでいる残念そうな顔も、すぐに消えた。
「望月君、そろそろカラオケに行くわよー!」
「あ、うん。分かった。……じゃあ、僕はこの辺で」
他のクラスの生徒だろう女が教室の扉の前で手を振ると、それを見た望月はそう言ってその場を立ち去る。
何だかんだと、望月は他のクラスの女とも上手くやっているらしい。
そのことには驚きつつも、すぐに納得する。
望月の性格を考えれば、寧ろそれは当然だろうと。
「アクセル、俺達は帰るけど」
お前はどうする? と順平が視線を向けてくる。
「部活の方はいいのか?」
月光館学園は、男子剣道部の強豪校として名高い。
その剣道部に2年になってから入部した形となっている順平だっ
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