第11話 鬼畜王戦争の記憶T
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その外見を見て どれだけ記憶を遡ったとしても 会った覚えはアームズには無かった。
間違いなく初対面だと言えた。
そもそも、魔人を パワーだけであれば上位に位置するであろう魔人DDを圧倒する様な人物に会っていたとするなら、忘れないし、忘れる訳もない。そんな人物などこの世界にいるかどうか。今思い浮かぶ魔人を圧倒する者と言えば、神異変が起きた現在では その魔人よりもさらに上位に位置する上級魔人か若しくは魔王だけだ。
そして目の前の男はそのどちらでもない。魔王や魔人特有の圧迫感の類は見えない。故に人間にしか見えない。
ならば、一体誰なのか。魔人を退け、且つ自分を知っている人物――。
「まさか――ゾロ、か?」
そう、ただ1人しか考えられなかった。
あの鬼畜王戦争を終結させたのは、ミラクル率いる新生トゥエルヴナイトたちと表向きにはなっているが、ゾロは間違いなく立役者の1人。
魔王を瘴気に戻したのはリセットのクラウゼンの手。
そして、人類を救ったのは……。あの人類に多大な被害を齎した戦争において、死者を圧倒的に減らしたのが――マスク・ド・ゾロの力だった。
あの場において 何処か守られている様な感覚に見舞われたのは自分だけではなかった筈だ。
アームズは記憶を更に遡った。
思い起こすのは、人類史上において最も大きな戦争 鬼畜王戦争の記憶を。
〜 6年前 鬼畜王戦争 〜
あの戦争ででは、第二次魔人戦争の時同様、人類の拠点は宙を浮く 無敵ランス城に構えていた。
軍師を任せている リーザスのアールコート、 ゼスのウルザ、ヘルマンのクリームなど、人類屈指の精鋭を揃えていたが、それでも戦況は悪いの一言だ。
『……あぁ。アームズか。来るのが早いな』
『確かにまだ時間はあるが、特にする事も無いからな』
『だろうな。……今確認したが、どこもかしこも旗色が悪そうだ。リーザスでも、自由都市でも』
地図を睨みながらそう呟くのは 神無城 清十郎。
魔人討伐隊において最前線で常に戦い続ける異国の戦士。人類最強の1人に数えられる戦士だ。
『仕方ないだろう……。何せ魔王は勝手気ままに現れては、蹂躙していくんだ。……質の悪い災害、いや厄災の化身だ』
『うむ。……人間の記憶が少しでも残っているのであれば、誘導するのはたやすいのだが、な。……魔王とは厄介。……否、それどころではない、か』
苦虫をかみつぶしたような表情を見せる清十郎。強敵との戦いを心から楽しもうとする性質を持つ彼にはそぐわない表情だと言えるかもしれない。……時と場合による、と本人は言
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