第11話 鬼畜王戦争の記憶T
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はそれでも良い』
『……………ダメ。それは、ダメ。姉さんだけに そんな……』
ハウゼルは、覚悟を決めた様だ。
『………私も、やるから』
嘗ての仲間達の命を奪う覚悟を。
簡単にはいかないのは判っている。人間とは言え 人間界で最強のパーティだからだ。以前共に戦っているからこそ、その力は知っていた。
でも、体力や魔力は無限じゃない。体力が無くなれば攻撃が当たりやすくなる。魔力が無くなれば魔法で防ぐ事が出来なくなる。
つまり――どれだけやっても結果は変わらない。悪戯に時間を稼ぐだけだ。
だからこそ、最後に。出来る事であれば――最後は痛まない様に、即死させてあげることを意識して、タワーオブファイヤーの出力を最大限にまで高めるのだった。
そして、絶体絶命の戦い。
対魔人用の武器不在。手の内を知られている魔人との戦いが始まった。
ミラクルやハンティの魔法で幾度となく防いだ。他にもそれに続いて志津香は炎で。ウスピラが氷で、と連携して善戦を続ける事が出来た。
だが、それでも 防ぐ事は出来ても攻める事は叶わない。魔人の無敵結界が全てを防いでしまうから。更に相手は空を飛翔している為、当たる武器自体限られていると言うのに、その上での無敵結界。普通の人間であれば、それだけで戦意を喪失しそうだが、それでも誰もが決して折れなかった。
無意味かもしれないが、それでも決して。
そして、読み通りだった。ただ時間を稼ぐだけで精一杯。誰ひとりとして眼は死んではいないが、それだけだった。絶対的な能力差は埋まるものではないから。
『……もう、止めて』
炎を幾度となく防がれ、何度も何度も攻撃してくる。だが、それは報われない攻撃。これ以上ハウゼルは見てられなかった。
『ハウゼル。……もう、決めるよ』
『……はい。姉さん』
ハウゼルとサイゼルは、互いに腰に手を回し、引き寄せた。
以前までは ハウゼルの炎、サイゼルの氷のコンビネーションだけだったが、今は違う。炎と氷と言う相反するエネルギーを1つにする事で、通常ではありえない爆発的なエネルギーを出す事が出来る様になったのだ。
彼女たちの奥義、とも言える業《バスワルド・メドローア》。
一度も見せた事のない奥の手。
疲労困憊な人間達に防げるものじゃない。
『(……ごめんなさい)』
ハウゼルは心の中で謝罪をすると同時に、……無情なる光線を放った。全てを無にする光。それはランス城をも巻き込んで 全て消し去る……筈だったが。
『『ッッ!?』』
思いがけない事が起きた。
あの光が、全てを掻き消す程の光源が2つに裂け……霧散したから。
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