第11話 鬼畜王戦争の記憶T
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の武器、魔銃タワーオブファイヤ―を握る手が微かに震えていた。
共に戦っていたあの第二次魔人戦争での出来事を思い返しているのだろう。待てども待てども表情が変わる事はない。2人の飛行速度をもってすれば、ランス城までそう時間が掛からないのに、必要以上に時間が掛かっているのは、ハウゼルの迷いのせいでもあった。
そんなハウゼルに、姉のサイゼルの激が飛ぶ。
『もう馬鹿ッ! 何度も何度も言ってるでしょ! これは魔王様の命令なんだって! あそこの人間達を皆殺しにしろって。……使徒にする事も駄目だって』
『馬鹿とはなんですか!! 姉さんはなんとも思わないんですかっ!? あの人達にどれ程の恩が……』
いつもであれば、ここで次元の低い姉妹喧嘩に発展する所なのだが、今回は違った。怒っているサイゼルだが、それでもハウゼルの気持ちは判っていたから。
『……あの魔王様に命令されて、まだ迷えるあんたの精神力は凄いと思うし、あんたの気持ちだって判らないって訳じゃない。……あいつらはハウゼルを救ってくれたから、それにあたしだって。だから凄く感謝してる。……でも、それとこれとはもう別の話なんだよ。もう、LP期じゃない。今はRA期。……魔王様はランス。命令違反は、普通は出来ないんだけど、それでも 魔王様の気分を害して、ハウゼルが殺される様な事になるくらいなら、あたしは絶対にハウゼルをとる。……今の魔王様には……、ランスには 躊躇なんて全く無いんだから。どれだけ忠義を尽くしていたとしても、例え女だったとしても。……顔見知りだったとしても、その命を消すのには躊躇なんてしない。寧ろ狂喜しながら殺すと思う。……楽しみながら、ハウゼルを殺すって思う。………そんなの、ぜったい嫌」
嗜めるサイゼルだが、その手に持つ武器、魔銃クールゴーデスもハウゼル同様に、震えていた。サイゼルとて判らない訳はないのだ。いろいろと問題のある魔人だが、それでも恩義と言うものは感じている。あの第二次魔人戦争での事を思えば。
だが、それでも妹のハウゼルの方を優先するのは半ば当然。あの戦争時ででも 全てを捨てて妹と共に逃げようと 提案した程だから。
そんなサイゼルの想い。いつもの口喧嘩にならなかった事もあって ハウゼルの心に直接響く様だった。
『っ……』
『だから、選択肢はない。今の魔王様から逃げられないのは判ってる筈。……だから、せめてもの情けで最初から全力で行く。カオスも日光も無いのは調査済みだし、あいつらがあたし達には絶対勝てない。……だから、出来るだけ 最後は痛みのない様に』
『……そう、しか出来ないんだよね。姉さん』
『うん。ハウゼルがそれでも嫌だ、って言うなら、あたし1人ででもやる。必要以上に苦しめてしまうかもしれないけど、ハウゼルが嫌な想いをするなら……あたし
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