第11話 鬼畜王戦争の記憶T
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界中で慕う子が出てきた。男も女も関係なく』
『……………』
『今や大家族。ヒトミも言ってたけど、みーんなまとめて一夫多妻、子沢山ってか。勇義だってそーだし。うーむ、アイツの対極の存在がランスっぽかったのに、そっち方面が同じになってたんだよなぁいつの間にか。むむむ、改めて考えてみりゃ意外も意外。大穴。あたしも一枚噛んでるってのも意外かもしんないね』
『う、……む。…………否定できないのが何か嫌だけど。それ言葉にして聞いたら弁護したくもなる。見境なしに抱いたって訳じゃない、って言うのが判るから』
ハンティの言葉を訊いて苦悩する志津香。
今でこそ いないのだが…… 長い間、付き合ってきていた。会話の中心に出てくる彼と長く。共に戦い、背を預けてきた最も信頼できる男だった。そして 当然ながら――昔から好きだった。愛していた。そしてその言葉を口に出す事が出来るようになったのは 彼がいなくなってからだった。いなくなってから 初めて……いう事が出来るようになったと言うのは本当に皮肉だ。
『そんなに考えこないって志津香。大丈夫。……アイツが死んでる訳ないんだし、ゾロがアイツな可能性だって高い。限りなく高い。……今日、思い切り言ってやろうじゃないか』
『そうね。そうするわ』
『うん。素直で宜しい』
『ハンティさんの前だから、かもしれない。……ほかの子の前じゃあまり素直になれないかもしれないから』
『年の功ってヤツかな。人生相談し易いってのは。まー、あんまり自分で言ってて嬉しいもんじゃないけど』
ハンティと志津香は、話を切り上げ 持ち場へと向かった。
向かう先はランス城の外。魔人の襲撃に備えての布陣を確認しに向かう。絶望的ともいえる状況だが、決してあきらめたり投げ出したりはしない、と強く心に秘めて。
彼女達は、そんな男の姿を見続けてきたのだから。
――その彼にまつわる話は、幾度となくされてきた。……何度も何度も、城内で行われてきた事。此処で全て紹介してたら、正直何時まで経っても終わらないので割愛します。
そして、ランス城周辺の空では、2人の魔人が宙を旋回をしていた。空を優雅に舞う姿はまさに天使……と言える。天使と言う存在については色々と思う所があるのだが、この2人についてはそれ以外の形容が見当たらない、とも言えた。
だが、その表情は天使には似合わず、暗く重たいものになっている。それは魔人ラ・ハウゼルだった。
『姉さん。もう少しで……ランス城です』
『判ってるわよ。……なに? あんたまだ迷ってるの?』
『……正直、な所は。私は、私達は少し前まであの人たちと共に戦ってきた。ホーネット様も、あの人たちは助けてくれて……、ケイブリスも打倒出来た。……なのに』
自身
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