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レーヴァティン
第五十三話 水の都にてその二

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「やっぱりな」
「ここはですか」
「風呂に入ってな」
 そうしてというのだ。
「会いに行こうな」
「すっきりとして」
「それがいいな、昨日は俺もな」
 すぐに行くべきだと言った正の言葉だ、彼も風呂の中で二日酔いの酔いを抜いている。温まった身体から酒が急激に抜けていっているのがわかる。
「焦ってたな」
「御前にしては珍しいな」
「そうだよな」
 自分からだ、正は久志に応えた。
「反省してるよ」
「また何で焦ったかだよ」
 久志はそのことが気になって彼に問うた。
「一体」
「それはな」
「それは?」
「何か最近早く十二人揃えてな」
「そうしてか」
「早く勢力立ち上げてな」
 そうしてというのだ。
「戦をはじめてな」
「この島を統一してか」
「世界を救いたいって思っててな」
「それが出たってことか」
「そうだろうな、焦ってもな」
「ああ、そうなってもな」
「実際どうしようもないな」 
 正はこの考えに至った、ここで。
「先のことまで考えるにしても」
「焦ったらな」
「本末転倒にもなるな」
「そうだよな、じゃあな」
「ああ、俺も戒める」
 昨日の自分の発言、それをというのだ。
「そして今はな」
「こうしてだよな」
「酒を抜く」
 風呂、今楽しんでいるそれでというのだ。
「じっくりとな」
「そうしなよ、しかしワインってのは残るな」
 久志は今度はこうも言った、頭から二日酔いの酒が抜けるのを感じながら。傷むがその痛みが増してすぐに消えていく。
「日本酒や梅酒よりもな」
「それはワインの特色だね」
 淳二も酒が抜けるのを感じつつ述べた。
「ビールもそうだけれど」
「酒が残るんだよな」
「どうしてもね」
「それで朝辛いんだよな」
「二日酔いになるとね」
「これは仕方ないか?」 
 ワイン、この酒を飲んだ時はとだ。久志は湯舟の中で言った。
「ワインを飲んだら」
「そうだろうね、やっぱり」
「そこは我慢してか」
「二日酔いになったら」
「その時はな」
「こうしてお風呂に入ってでもね」
「ワインの酔いを抜くべきか、飲みやすくてもな」
 それでもとも言う久志だった。
「後が残る酒ってことだな」
「その通りだよ、もうそれはわかって」
「飲むべきか」
「好きならね、実際に好きだよねワイン」
「起きた時の世界でも大好きだよ」
 実際にという返事だった。
「それでついつい飲み過ぎてな」
「今みたいにだね」
「苦しんでどうするかってなってるさ」
「おいらもだよ」
「そうみたいだな」
「雀荘でお客さんとして入って儲けて」
 働いている時とは別にというのだ。
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