Extra Story
これが 本当にたった一人の選手が放つ気だというのか
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地上へと降り立った。
『─。』
ヴァーリはを前方へと構え、ウィスを見据える。
だが皆の予想とは異なりヴァーリがウィスへと突貫することはない。
否、ヴァ―リは圧されていた。
ウィスから放たれる圧倒的な存在感に。
対するウィスはただヴァ―リを静観し、自然体で佇むだけ。
だがそこに一切の隙など存在しない。
『…。』
周囲を恐ろしまでの静寂が支配する。
この場の誰もが眼前のウィスとヴァ―リの2人から目を離さない。
否、離せなかった。
次の瞬間、紅玉の瞳をウィスが見開いた。
対面するヴァ―リを射抜くが如く。
『…!?』
途端、ウィスを中心にして暴風が周囲に吹き荒れた。
かまいたちが如く圧倒的な力の猛威が辺り一帯へと波及し、暴れ狂う。
グラウンドの地面はウィスを中心にして瞬く間にひび割れ、校舎には決して浅くはない亀裂が走る。
ウィスが放つ超越的な力はこの場の結界内だけに止まらず、外の世界までにもその力の影響を及ぼしていく。
「そ…!そんな…!?」
「これが、本当にたった一人の存在が放つ力だというのか…!?」
「こ…、これは!?」
「一体、何が始まると言うのですか!?」
「会長、前に出過ぎると危険です!」
この場の誰もが大きく戦慄する。
見れば余りの威力にヴァ―リは僅かばかり後方へと後退している。
ヴァ―リは左腕で顏を覆い、驚愕したかのように前方のウィスを見詰めていた。
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やがて周囲に吹き荒れた暴風が治まる。
人知れずヴァ―リの頬からは冷や汗が流れ落ちている。
ヴァ―リ本人はその場に体を縫い付けられたかのように一歩も動けない。
そして冷や汗は頬を伝い、顎へと流れ落ち、地面へと落下する。
ヴァ―リの汗は地面へと落ち、落下の衝撃によりその姿を消失させた。
それが決戦の合図。
「おおおおおおお────!!」
次の瞬間、ヴァ―リは己を強く奮い立たせるべく天高く吠え、強大な威力を秘めた魔力弾をウィスへと勢い良く放った。
先ずはウィスの反応を観察することを目的とした何の指向性も持たない純粋な火力重視の攻撃。
対するウィスはその場から動かない。
回避する必要も、防御を行う必要もない。
「─。」
そう、ただ静観しているだけ。
ウィスは終始変わらずその場でヴァ―リをその紅き双眸で見据えているだけである。
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