偵察-リコンナイセンス-part3/残された虚しさと疑心
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だとシュウは考えている。しかしその混乱しか招かず、寧ろかつての自分が防げなかった悲劇を、己の手で引き起こすところだった。
もしあのまま戦い続けていたら、俺は……
それはもはや、メフィスト…メンヌヴィルの言っていた通りの、『血の匂いがする者』。
自分が倒すべきと強く想っていた、スペースビーストたちと何も変わらない、生きているだけで全てに害をなす、平和を乱す愚かな存在だ。
(俺は…なんのためにビースト殲滅兵器を設計した?
なんのためにナイトレイダーに入った?
なんのために光を手にしたんだ…)
自分が何かをしようとしても、逆に自分は次第に平和を乱す存在になっていく。そうとしか思えない現実が続き、果てしない虚無感が彼の心を支配していった。
(俺のやってきたことって…なんだったんだ。
そもそも、今の俺は、何だ?)
「シュウ…いる?」
ベッドに腰掛け、俯くシュウ。すると、ムサシから呼ばれてここへ来たのか、サイトとティファニア、ルイズ、ハルナが彼の元を来訪した。
「体の調子は平気か?」
「…今のところは、何ともない」
サイトからの問いに、シュウは目を逸らしながら答えた。目にかつての生気がない。これまで共に戦ってきた中で、彼が見せてきた覇気が感じられなかった。やはり、自分を助けるためにアルビオンへ囚われてしまったアスカ=ウルトラマンダイナを救えなかったことがかなり堪えていたようだ。それに加えて…サイトたちの脳裏に、シュウがネクサスとなった時、カオスヘッダーに憑依された問に湧き上がったあの赤黒いオーラを身にまとった姿が浮かんだ。この二つの点が、今の彼から本来の毅然とした心を失わせていたことが予想された。
「…平賀、ティファニア」
消え入りそうな声で、彼は口を開いた。
「俺はもう…どうすればいいのかわからない。これから、俺は何をすればいい…何をしても、誰かを傷つける結果しか生まなかった俺は……」
今までに見たことのない、弱々しいシュウの姿。サイトたちは絶句する。
(これが、あのウルトラマンに変身した男なの…?)
ルイズはにわかに信じられないと言った様子だった。成り行きという形だが、彼とは何度も共闘してきた。生意気な平民だとは思うが、それでも彼は己の体を常に張りながら戦ってきた。それが、今では見る影もなかった。すべてを諦めようとしている、堕落寸前の人間に見えてくる。
ティファニアは、強く心を痛めた。ここまで自らの身をと心を削ってまで、ウルトラマンとして誰かを助けようとした彼。もはや、見てられなかった。
ムサシから背中を押された時のことを思い出し、それで勇気を振り絞って、彼女は口を開いた。
「…ねぇ、シュウ。すぐじゃなくていい。でも今度こそ話して。あなたに何があったのか…愛梨さんって、貴方にとってどんな人だったのか」
「…愛梨
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