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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
偵察-リコンナイセンス-part3/残された虚しさと疑心
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う凶悪な敵を作らせるのを許してしまったことがある。シュウも同じことをされたから、当然ネクサスをベースにした新たなカオスウルトラマンが誕生していたはず。だが、新たなカオスウルトラマンは現れなかった。それどころか、憑依されたときに発生した、カオスヘッダーの放つ光と異なる…赤黒いオーラ。
(あのオーラはカオスヘッダーさえも飲み込んでいた。何かあるのか?彼の体に…)
ムサシは、そこについては不気味に思っていた。
「…そう、わかった。けど、何かあったらすぐに誰かに言うようにして。絶対に無理をしたらだめだ。もう今回のことで、君一人でアスカさんを助けに行くことは不可能だとわかっただろ。
それに、今の精神が疲労している状態で戦っても、体が思うように動かないはずだ。これを機会にしばらく休んだほうがいい。サイト君やティファニアちゃんが心配しているだろうから…ね?じゃあ、皆を呼んでくるよ」
「…」
静かに部屋を後にしたムサシに対して、シュウは無言だった。ただ何も言わず、この世界に召喚されたことよりも、生気が抜け落ちたような足取りでベッドに伏せた。
ティファニアたちを結局自分の戦いに巻き込んでしまい、かといって自分がウルトラマンとして戦うことを捨てることができず、そのまま自分の身に鞭を打ち続けて戦ってきた。だが戦い続けるほどに、彼の求めた形とは異なる結果ばかりが残る。自分の戦いに巻き込まれたせいですぐそばにいるテファやリシュも傷つけ、学院も危険にさらし、さらには別のウルトラマンであるアスカもまた邪悪な組織に捕まるという失態を犯した。今回も、結局助けるどころか、不測の事態もあったとはいえ、アスカが囚われているであろうアルビオンへの侵入もできなかった。
悔しさと、自分に対する怒りと無力感ばかりが募る。なぜ自分はいつまでたっても、誰も救えないままなのか。考えれば考えるほど、また自分の中に負の感情が芽生えていく。カオスヘッダーに憑依された時、それらの感情がさらに爆発し、そしてあのどす黒いオーラを誘発したのでは?タイミングとしてはそのように考えられる。そして一瞬のうちに怪獣たちを一掃した。強力で、恐ろしい…力。
もしや……あのまま負の感情を抱いたまま戦っていたら…俺は…?
負の感情を抱いた自分の行き着く果てに、メフィストやムカデンダーと戦ったときの凶暴かつ獰猛な自分の姿を思い出した。
膨れ上げる負の感情を吐き出すかのように、敵を殺すためだけに常人を超えた力を振るって暴れる。ウエストウッド村の時も、ロサイスの時も、そして今回の件でも……自分は抑えきれない感情のままに、自分の成し遂げたいことを成せられないことへの焦りといら立ち、怒りから…自分を失いかけた。
誰かを守りたくて戦うという自分の願いと裏腹に、獣のようにただ心のままに暴れる。そんなことは、この世で最も無意味なこと
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