偵察-リコンナイセンス-part3/残された虚しさと疑心
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だが、それを言ってしまえばルイズに対しても同じことが言える上、現在のアルビオンが謎のバリアで封鎖されていることと、何度も同じ場所を連日で襲撃するような明確な理由も見られないので、学院に置くことを反対することはできなかった。逆に町に置いたら置いたで、テファの持つ虚無、そしてウルトラマンであるシュウを狙って再び町が襲撃され、ただでさえ復興に時間がかかっているというのにまた被害が出てしまい、キリがなくなる恐れがあった。冷たいが、シュウとテファは敵の手に渡していい存在でもなく、失っていい存在でもないが、同時に侵略者に狙われる理由でもあったのだ。だから少しでも、万が一また事件が起きても被害が少なく、学院の生徒たちもまだ十分に戻っておらず、そして目の届く場所でもある魔法学院へ留めることをアンリエッタは決めた。トリスタニアの兵を警護につけなかったのも、テファがハーフエルフであることや、あまり大げさに配備させてしまうと、かえって敵味方両方に対して不信感を煽る恐れがあったので配備しなかった。
「サイトさん、ルイズ、ハルナ。貴方方はミスタ・クロサキのことを見てあげてください」
「…大丈夫です、いわれなくても、そのつもりです」
「姫様の命令とあらば」
「は、はい!」
これでシュウの身の安全はある程度確保された。しかし、敵側はシュウの正体を知っている。アルビオン大陸を覆うバリアが展開されているとはいえ、後はそのうえで何かを仕掛けてこないかが心配である。
そうなった場合、当然ながらサイトは戦うつもりだ。ウルトラマンとして。
城内の医務室にて、水の魔法で地下水が治癒の魔法をかけてシュウの傷と疲労と癒していた。終わったところで地下水はシュウの手によって腰のホルダーにしまわれた。
「これで少しは体力が戻ったと思いますぜ」
「どう?体の調子は」
「…少しは楽になった」
ムサシから容態を聞かれ、シュウは頷いた。
ここしばらく、本当に肉体的にも、それ以上に精神的にも苦痛だらけだった。
だがこんなところでぬくぬくしていても意味はない。すぐにでもアスカを助けに行きたい。自分は戦わなければならない。ただ人を守るために、償うために。
しかし…何度も誰かを守ることを願って戦い続けているのに、結局何度も悲劇の発生を許している。どれだけ願っても、どれだけ粘っても、どれだけ体を張り続けても…何度も…。
「……ねぇ黒崎君、カオスヘッダーに憑依された後遺症とか、何か体に異常を感じないかい?」
「…いや、今は疲れしか感じない。痛みとか…何もないんだ」
「本当に?」
「ああ。嘘は言っていない」
シュウの表情が翳り始めたのを見たムサシは、あの戦いでシュウが変身した状態でカオスヘッダーに取り付かれたときのことを思い出した。以前、自分も同じことを経験し、カオスウルトラマンとい
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