偵察-リコンナイセンス-part3/残された虚しさと疑心
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ジュリオがそのように答える。
「もしや、彼に何かあったのですか?」
アンリエッタは、シュウがウルトラマンだと知りながらも、自分や国そのものが何度も危機から救われた恩義から隠している。そのウルトラマンの一人であるシュウが突然医者に見てもらうほどの事態に陥るなど予想だにしていなかった。
「クロサキ君は、肉体と精神の両方において酷く消耗しているようで、帰還直後に倒れてしまったんです。ただ、命に別状は見当たりません。ミスタ・ハルノも同伴でそちらにいますよ」
あの戦いの際、再び敵となったカオスヘッダーに憑依されたネクサス=シュウ。ムサシはそのことが気になり、付き添っていったのでここにはいないのだ。
「そうだったのですか。でも、無事なのですね」
「……」
アンリエッタがそれを聞いて安堵するが、サイトは鋭い視線をジュリオに向けていた。
「サイト君、僕にそんな熱い視線を送られても困るんだけど?」
「てめえ!!」
「平賀君!?」
わざと挑発的に、ともとれるジュリオの軽薄な態度にサイトは切れ、ハルナたちをどけて彼に詰め寄ろうとすると、アニエスがジュリオと彼の前に割って入って止めた。
「サイト!やめんか!!」
「けどアニエスさん!!こいつはネクサスがカオスヘッダーに憑依された時、仲間を見捨てて逃げたんですよ!!」
確かにカオスヘッダーを相手に、怪獣使いのジュリオはまさに彼らの格好の餌食にされかねない。それはムサシからカオスヘッダーのことを聞いていたサイトも理解している。だがジュリオのリトラなら十分に、ホーク3号のルイズたちを守りながら連れ帰る余裕はあったはずだ。
「助けようともしないで、こいつは…!!」
「やれやれ…僕は別に見捨てたつもりじゃないよ。君たちやウルトラマンの力なら、たとえ僕がいなくたってどうにかできた。証拠にネクサスは助けに入った新しいウルトラマンの危機さえも救って君たちを守った。それなのに僕を薄情者として扱うなんて、君こそ人でなしじゃないか?」
「いけしゃあしゃあと…!」
「サイト、やめなさい!ここは姫様の御前なのよ!!」
「ルイズ!でも……」
「平賀君、やめよう。あの人、平賀君が何を言っても適当にあしらうと思う」
「…わかったよ…」
ルイズからも差し止められ、一度はそれでも反抗しようとするも、続いて宥めてきたハルナの言葉も加わったことで、大人しく下がることにした。
「それじゃ、僕はここで去るとしよう、これ以上僕がここにいると、サイト君のイライラが余計に募るみたいだからね。
女王陛下、僕には後で別の方からお知らせください」
ジュリオは最後にサイトに向けて薄い笑みを浮かべ、一足先に退室した。サイトは最後に彼が浮かべた笑みを見て、ジュリオ本人が何一つ自分が悪いと思っていないことを察し、さらにジュリオに対してむかつきを覚
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