最終章:夢を追い続けて
第70話「圧倒的。故に天才」
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どれだけ努力しても、俺では天才たる桜さんに地力で勝てない。
そして、その差による劣勢に、俺は追い込まれていた。
「……ここまでやられれば普通は敗北を悟って素直に諦めるか、醜くも力の差を認めずに喚くかのどちらかだが……やはりそのどちらでもないか」
「っ………!」
さっきまでよりも起き上がるのが遅い。
だが、それでも俺は立ち上がる。
……“勝つため”に。
「……力の差を理解している。そして尚且つ、“その上で勝つ”つもりか。……一見すればただの馬鹿だが……」
「………」
再び構える俺に、桜さんも言葉を区切って警戒を緩めない。
……ああ、桜さんの言う通りだ。俺は、諦めない。
「(まだ、俺は努力の全てを、見せていない……!)」
勝てる勝てない以前に、自分の全てを出し切っていないのに、そこで終わる訳に行くわけがないだろう……!
「っぁあ!!」
「っ!」
ギィイイイン!!
「ぜぇぁあっ!!」
ギギィイイン!!
執念とも取れる俺の攻撃が、桜さんを防御の上から押す。
……だが、それだけだ。
「ッ……!」
ギィイイン!
「攻撃は重く鋭くなっているが、動きが鈍っているぞ?」
「ぐ、ぁあっ!?」
次に繰り出した一撃は躱され、そのまま懐への一撃が繰り出される。
辛うじてブレードを引き戻し、防ぐことは出来たものの、また吹き飛ばされる。
………これで、14回目……。
「どうした。攻撃以外を疎かにしては意味がないぞ」
「っ………」
桜さんの言葉を聞き流しつつ、よろよろと立ち上がる。
「(単に競り勝つことは不可能。いくら手を変えても、それは変わらない。だったら……!)」
立ち上がる俺へ、容赦なく桜さんは攻撃してくる。
それに対し、俺は……。
「シッ……!」
「ッ……!」
互いのブレードは、ぶつかり合わない。
桜さんのブレードは、俺の脇腹を掠め、俺のブレードは桜さんの頬を掠めた。
……捨て身のカウンターだ。
「っ、そう来るか……!」
「やっと、攻撃が入った……!」
ただのカウンターでは、まず成功しないし、したとしても防がれる。
だけど、どんな天才であろうと、変わらないことはある。
それは、攻撃と同時にカウンターへの対処は不可能だということ。
カウンターする側であれば、回避or防御と同時に攻撃は可能だが、その逆の場合はどうあっても同時は無理だ。……やる場合は、どうしても攻撃を中断するか、後回しにする必要がある。
「(如何に反射神経が鋭く、超人的な身体能力であろうと、これなら……!)」
もちろん、問題はある。
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