最終章:夢を追い続けて
第70話「圧倒的。故に天才」
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はやてに鍛えてもらったといっても、戦略性は桜さんに大きく劣る。
「(最低でも体勢を崩してからじゃないと、あの連撃は入らない)」
万全にブレードを振るえない状態にしないと、まず俺の攻撃は通らない。
少なくとも、“生身”ではそうしないとダメだろう。
「っ……」
手汗が滲む。今までは、“勝てない”なりに桜さんに挑んできた。
だけど、今回は“勝たなければならない”。
“負けてもいい”と逃げていた訳じゃないが、その分の緊張がなかったのは確かだ。
その分のプレッシャーが、今はかかっている。
「……ふぅ……」
それだけじゃない。
俺がここまで桜さんと長く戦えた事はなかった。
模擬戦でも、以前の戦いでも、既に戦闘は終えているほど、決着は早かった。
体力に余裕があっても、その事実が俺を追い立てていた。
「(……だけど、それがどうした……)」
燻る気持ちを抑え込もうとする。
これは、緊張による恐れではない。……高揚、しているのかもしれない。
だからこそ、抑えなければ動きが緩慢になってしまう。
「……ふっ……!」
「っ……!」
ギィイン!!
戦闘再開だ。
息を整え、呼吸を整え、研ぎ澄ました一撃を放つ。
防がれてしまうが、別段驚く事ではない。
「さらに鋭く、重くなるか……!」
「はぁっ!」
二撃目を放つ。それも防がれるが、防御だけだから僅かに後退させた。
「ぉおっ!!」
ギィイン!!
さらに、三撃目。四属性を宿した三連撃に、桜さんはさらに後退する。
……これでも、後退止まりか。
「………!」
四属性を宿した一撃としては、間違いなく俺の放てる最大の鋭さだ。
だけど、防御に徹されれば、防御自体は容易い。
その上から攻撃を通せるほどの一撃だが……やはり、桜さんには通じない。
「ふっ……!」
「っ……!」
ギィイン!ギギギィイン!ギギィイン!!
ブレードが何度もぶつかり合う。
互いの力がぶつかり合い、相殺される。
……だけど、俺にはわかる。押されているのは、俺の方だと。
「くっ……!」
「ふっ……!」
躱し、斬り、防ぎ、また斬る。
ただ努力を重ねてきた一撃一撃は、無骨に見えて非常に洗練されたものとなっている。
それでも、通じず、防がれる。
「……!」
……わかっている。俺の実力は決して桜さんを上回っている訳じゃない事は。
俺が一つの事を習得している間に、十の事を習得できるのは桜さんだ。
そんな相手に、実力で上回れる訳がない。
……故に。
「しまっ……!?
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