ペルソナ3
2038話
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今の状況で一気に蹴りを付けた方がいいような気がするんだが。
ここでタカヤ達を逃がせば、恐らく後々面倒な事にはなるし。
そう思いながらも、武治や美鶴、真田といった具合に、幾月と親しかった連中の事を思えば、ここで無理も出来ない。
幾月が美鶴達を裏切ったのは間違いのない事実だが、それで幾月との思い出がなくなる訳でもないのだから。
その辺り、感情は割り切ろうとしても、心の方ではそう簡単にいかないのだろう。
まぁ、幾月が生きていればそんな事は考えなかったのだろうが、やはり目の前で死んだというのは、大きいのだろう。
そうして煙幕が消え去った後……周囲に残っているのは、物言わぬ死体と化した幾月だけだった。
「本当に構わなかったんだな? 今からでも、追おうと思えば終えるが」
「……ああ。それで、構わない。それに、幾月の件は桐条グループとして色々と動かなければならない理由があってな」
「動かなければならない理由?」
武治のその言葉に一瞬疑問を抱いたが、それ以上何も言わないというのは、武治にとって……桐条グループ総帥の武治にとって、色々と思うところがあるのだろう。
俺の言葉に何も言ってこない武治に、これ以上は聞かない方がいいだろうと判断して、幾月の死体に視線を向ける。
下半身はジンの手榴弾によってボロボロになっており、両足は既に存在しない。
それ以外の場所も、爆発によって大きな被害を受けているのは、見れば明らかだった。
そんな下半身に比べれば、上半身はまだ原型を残している。
「幾月の死体、どうする? このままここに置いておくって訳にはいかないだろ」
ここがタルタロスの中であればまだしも、俺達はまだタルタロスに入っていない。
幾月が待ち受けていたのは、タルタロスの外だったのだから、それは当然だろう。
つまり、影時間が終わっても幾月の死体はここに残る事になる。
「今から人を呼んでここで片付けるから、皆はもう帰ってもいい。美鶴は一応、護衛としてここに残ってくれ」
「分かりました」
少し沈んだ様子の美鶴だが、それはやはり幾月が死んだ事に対して思うところがあったからだろう。
勿論自分を裏切った幾月を、美鶴は完全に許せるという訳ではない。
だが、何年も一緒に行動してきただけに、死体を見てしまえば、単純にざまあ見ろとは言えないのだろう。
「アクセル、悪いが今日は……」
「いや、別に桐条グループの連中が来るのを待つ必要はないだろ」
「え?」
美鶴に最後まで言わせるよりも前に、俺は幾月の死体に近づいていく。
そうして幾月の死体に触れ……次の瞬間、幾月の死体があった場所には、他には何もなくなっていた。
言うまでもなく、幾月の死体は俺の空間倉庫の中に収納されたのだ。
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