ペルソナ3
2038話
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被害を受けていたのは間違いない。
その幾月は、美鶴や武治の……そして他のS.E.E.Sのメンバーの怒りに満ちた顔を見て満足したのか、優越感に満ちた笑みを浮かべながら、口を開く。
「さて、ではそろそろ始めましょうか。今日は僕が闇の皇子となる日です。愚者達に付き合って、時間を無駄にする訳にもいきませんから」
闇の皇子? と疑問を抱くが、幾月はそんなこちらの様子に気が付いた様子もなく、笑みを浮かべたまま指を鳴らす。
「アイギス、コード、ダークネスプリンス。S.E.E.Sとアルマー達を行動出来ない程度まで痛めつけろ。くれぐれも殺さないように」
ダークネスプリンスね。……直訳して闇の皇子。
なにやら、その言葉に強い執着があるらしい。
ともあれ、幾月の命令を聞いたアイギスは銃となっている指を上げ……
タァンッ、と軽い音が周囲に響く。
だが、その銃弾の向かう先は、S.E.E.Sの面々でもなく、ましてや俺やゆかり、コロマルといった者達でもなく……
「ひっ、ひぃっ!」
みっともない悲鳴を上げた、幾月の足下だった。
本来であれば、その銃弾は俺達の方に向けられている筈だったのだろう。
だが、実際にアイギスの銃弾が撃ち込まれたのは、幾月の足下。
荒事には無縁の幾月にしてみれば、完全に予想外の光景に悲鳴を上げるのも分からないではない。
いきなりのアイギスの行動に頭を抱えている幾月に、武治が口を開く。
「残念だったな。アイギスに仕込まれていたプログラムは、既に解除済みだ」
「なっ!? ……何故、何故アイギスに……」
信じられない。
幾月の表情は、恐怖と疑問に彩られていた。
今まで武治や美鶴を欺いてきた自分が、まさかここで逆に騙される事になるとは、思ってもいなかったのだろう。
そして……再び、銃声が周囲に響き渡る。
だがその銃声は、アイギスから放たれたものではなく……
「がっ!」
幾月が、腹を押さえながらくぐもった声を上げる。
押さえている場所からは、じわじわと血が滲んでいるのが分かる。
そうして、腹を押さえながらも、幾月は衝撃を感じた方向……つまり、背後を振り向く。
そこにあったのは、銃を構えたタカヤの姿。
いつものように薄笑いを浮かべているタカヤに、幾月は何かを言おうとするも……口を開けば、そこから血が吹き出て言葉にならない。
「な……にを……」
「いえ、そろそろこの茶番も見飽きたと思いましてね。それに、貴方の望み通りにはなったでしょう? 勿論、全てが叶ってはいないのでしょうが。それに……エルゴ研の生き残りを、私達がそのままにしておくと思っていましたが?」
そう告げるタカヤだったが、台詞程に幾月を恨んでいるようには思えない。
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