三十九
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夜もすがら
人そ恋しき
雨音に
月のなからむ
空ぞ恨めし
雨の降る寂しい夜は、なんとも人恋しく…春だと言うのに肌寒い風は吹き、侘しさにあの人を想ってしまう…。
ずっと雨音ばかりが響く…そんな空に、私は恨み事しか言えない…。
雨ばかり降らせず…少しは月を見せてほしいものだ…。
時は去り
かへらぬものと
知りながら
昔を惜しむ
春の暮れかな
時間は無情に流れゆき…どう足掻こうが、決して戻ることはない…。
それを知ってはいても…やはり「昔は…」と、思ってしまう年になったのだな…。
私のような些末な者が恋などするものではないな…本当に侘しいばかりだ…。
もう春も終わってしまう…後どれほど春を見れるのか…いや、一人見ねばならぬのか…か。
悩みも後悔も…尽きることがない…。
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