暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第156話「妖の薔薇姫」
[1/9]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話






       =out side=





「下がりな!」

「っ………!」

 紫陽の言葉に、前線にいる者たちが巻き込まれないように飛び退く。
 既に紫陽が膨大な霊力の持ち主だと、奏達が念話で伝えているため、皆素直に従った。

華々(はなばな)と燃えな!」

   ―――“華焔(かえん)

 そして、巻き添えの心配がなくなった瞬間、多くの妖が焔の中に消えた。
 紫陽は幽世の土着神だ。そして、その名に恥じない実力を持っている。
 元々抑えられていた妖の群れ如きなら、あっさりと焼き尽くすことができる。

「す、凄い……」

 その凄まじさに、なのはが全員の気持ちを代弁するように呟いた。















   ―――そのようにして、京都で妖が食い止められている頃……









「……っ……」

 緋雪が大門の守護者と戦闘する前に張られた結界の中で、椿が目を覚ます。
 実際に戦闘していた優輝と葵と違って、椿は大した傷を負っていない。
 そのため、目覚めるのが早かったのだ。

「ここは……」

 目を覚まし、椿は辺りを見回す。
 ……結論から言えば、椿がこのタイミングで目を覚ましたのは、運が良かった。
 ただし、状況は最悪には変わりない。なぜなら……。

「ッ……!」

 椿が霊力を感じ取った方向に、蝙蝠が集まっていく。
 そして、それは傍に未だに気絶している葵と同じ姿を取っていく。

「嘘……葵が倒しておいたはずじゃ……」

 実際に聞いた訳じゃない。援軍に来たからそう思っていた。
 事実、葵は倒したと思って駆けつけていた。
 ……そう。妖の薔薇姫は、まだ倒せていなかった。

「くっ……」

 それどころか、身に纏う瘴気により、さらに強くなっていた。
 それを椿も感じ取り、短刀を構える。

「(優輝も葵も目を覚まさない……大門の守護者との戦いのせいね……最悪だわ……)」

 椿の得意武器は弓で、距離も当然遠距離だ。
 近接戦用に短刀を扱っているが、近接戦が得意な相手には及ばない。
 おまけに、結界がまだ残っているとはいえ、優輝と葵は守りながら戦わなければならない。
 低く見積もって実力が互角以上の相手に、その条件は最悪でしかなかった。

「(でも、やるしかない)」

 幸い、現れた薔薇姫は、まだ結界の外にいる。
 余波程度なら防げそうな結界があれば、優輝と葵を守る必要はない。
 そう考え、椿は結界の外に出る。

「(意識の対象を私に。優輝たちには決して向かせない。……行くわよ……!)」

 そして、椿は駆け出す。
 それに反応する
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ