CAST29
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「私、貴方の事を好きになってしまったの」
「まや…さん…?」
「答えを聞かせてちょうだい。私の王子様」
好き…? 真夜さんが?俺の事を?
「え、えぇっと…?」
好きって…要するにそう言うことだよ…ね?
「う、嬉しい、です。でも、何がなんだか」
「あら。ごめんなさいね。急な事で驚かせてしまったわ」
うふふ、と笑いながら、真夜さんは続けた。
「30年以上前。私は二つの意味で死んだわ。
女として。そして、四葉真夜という少女として」
大漢崩壊の…切欠だったっけか…
「犯されて、女としての私は死に、そのトラウマを消すため、経験を知識に変換されて、少女だった私は死んだの」
深夜さんとの、確執の始まり…
深夜さんは姉として、妹を救いたかった。
その一心だったはずだ。
でも…真夜さんは…
「でもね、一年前のあの日。貴方が私の時間を巻き戻してくれたとき、少女としては死んだままだったけど、女としての私は生き返ったわ」
「私は世界に復讐したかった。
女としての…子を育てるというささやかな喜びを奪った世界へ。
そのための研究だって進めてきた」
「だけど貴方は、私の我儘を聞き入れ、本当に実行してしまった。
たった一人の人間が、世界に殺された私を甦らせた」
「達也さんの力を使って、私は世界に復讐するつもりだったの。
だけど、別の形で、ある意味で私の復讐は果たされた。
世界がなす術なく巻き戻され、結果が書き換えられるという結末で」
真夜さんの右手が、頬に触れた。
「貴方のおかげよ。白夜君。
貴方は、私を闇の底から引き上げてくれた。
だから、惚れてしまった。
私を助けてくれた『王子様』に」
「俺は…王子様なんて柄じゃないです」
「そうね、でもね、女は何時になっても、自分を射止めてくれる男を待っている物よ。
惚れっぽいって自分でも驚いているわ。
それにあの別れ際のキスだって、貴方に私を意識してほしかったから」
真夜さんの告げた事には、驚かされた。
「確かに、俺は貴方の事を意識しています」
ずっと貴女の事を考えていた。
「まぁ!嬉しいわ!」
しかし、俺はまだ返事を返してはいけない。
好きだと言ってはいけない。
「でも、その前に、俺にも話しておくべき事があるんです」
「構わないわ」
もしかすると、嫌われるかもしれない。
だけど、ここで何も言わずに返事をしたら、きっと俺の中に罪悪感が残ってしまう。
真夜さんが好きだ。
でも、だからこそ、嫌われる可能性があっても…
「俺には、前世の記憶があるんです。
確かに、体は14ですけど、前世で16だったので、中身は三十くらい
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