CAST28
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
質葉家の前の二台のコミューター。
「では後程」
水波が1台に乗り、白夜と真夜がもう1台に乗り込む。
「うふふ…二人っきりね」
「えぁ? そうですね」
白夜の隣に座った真夜が微笑んだ。
肉体の若さからくる可憐さと、実年齢がもたらす深い妖艶さの入り交じった微笑み。
白夜はなんとなく、顔をそらしてしまう。
そのまま真夜の方へはむかず、窓の外を眺めている。
「白夜君。九校戦は初めて?」
「そ、そうですね」
「競技内容は知っているかしら?」
「スピードシューティング。クラウドボール。
バトルボード。アイスピラーズブレイク。
ミラージバット。モノリスコード。
今年はこの6つですよね」
「ええ、そうよ」
他にも競技はあるが、今年はその六つだ。
「白夜君はどの競技に興味があるのかしら?」
白夜は観るよりも実際にやりたい人間だ。
「あえて言うならミラージバットと女子バトルボードですかね。
知り合い…というかウチの門下生が出るんですよ」
「だれかしら?」
「渡辺摩利。かの渡辺家の一人娘ですよ」
白夜は知り合いが出るから、程度にしか思っていなかったが、真夜は別だった。
水波から送られてきた情報。
その中でも最も重要度の高い物。
白夜に好意を寄せている者のリストだ。
リストの中で、真夜が警戒している相手。
それが渡辺摩利だ。
百家ではないとはいえ、その家柄もよく、白夜と釣り合いうる相手。
「渡辺摩利…ね…」
「青田買いですか?」
「ええ、そんな所よ。時間があれば会ってみたいわね」
「あとでメールしときますよ」
「……仲がいいの?」
「あの人家の兄が好きらしいんですよ。
その関係でよく恋愛相談されるんですよ」
「そう…恋愛相談…」
無論真夜はその『恋愛相談』についても、その本来の目的をきかされていた。
「白夜君には、好きな人はいないのかしら?」
真夜に問われた瞬間、白夜は顔が赤くなったのを自覚した。
赤髪に映える白い肌が赤くなっているのを真夜は見逃さなかった
「顔、赤くなってるわ」
「いいじゃないですか…好きな人くらいいても…」
「若さって羨ましいわ」
真夜がクスクスと口元を押さえて笑う。
「真夜さんだって十分若いですよ」
「ええ、体は若いわ。でもね、精神はそうもいかないのよ」
「くくっ…」
白夜の返答は笑いだった。
窓の外を見ていた目を、真夜に向ける。
「真夜さんって心も若い…いえ、子供っぽいですよ」
「そうかしら?」
「ええ、だって今、家出中でしょう?」
真夜はきょとんとした
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ