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SAO -Across the another world-
五話 矛盾の予兆
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ーバー警備費用」、値はなんと保守対象であるVRゲームサーバー本体の約二倍であり、一位の本社サーバーと対して差がない程の費用を警備の為に費やしている事になっていた。どうもおかしいと思った園原は、内線で経営部門へと電話掛け、同じ大学出身、同期入社でそこそこ親しい間柄である正田を研究室に呼び出した。
少しすると、正田は保守関係と警備関係の予算案を纏めたファイルを持ってきて現れた。その傍らには、園原の知らない女性がくっついていた。
「突然ごめん、正田君。彼女は誰?」
「俺と同じ経営三部の三矢だ。前、予算案を纏める会議に出席してたから役に立つと思って連れてきた」
「経営第三部門所属の三矢です。勝手に着いてきてしまって申し訳ありません」
「問題無いよ。むしろ、一つでも情報が欲しいから来てくれて助かった。あ、私は研究第一部の園原歩美よ。宜しくね」
お願いします、と三矢は俯いたまま小声で呟いた。どうやら気弱な性格であるらしい。小柄な見た目と相まって、小動物の様な印象を園原は三矢に対して持った。
その三矢と正田を研究室内に招き入れ、先ほどの資料にある関数表を見せる。二人とも、数字の一つ一つを吟味するように見ていき、そして二人とも、同じ箇所で視線が止まっていた。
「こいつは.....」
「明らかにミスですね」
「じゃあ、営業部の方ではこんな予算を組んでないって事?」
「組めるかこんなもん。大体、どこの警備に何千万も掛けるってんだ。サーバールームなんか、十人居れば十分にカバーできる筈だろ」
「前回、保守予算についてのヒアリングした時とはまるで違います。例えばここ.....」
三矢が指を指したのは、序列第五位にある「法人レンタル用」と名の付いた項目である。大学や研究機関などにサーバーを貸し出す為の機材調達、それのメンテナンスの費用などを計上した予算だ。おおよそ三千万少しの金額がそこには記されている。
「今年度は機材の新調も無い筈ですから、こんな多額の予算は必要無いです」
「貸出サーバーのメンテナンスににこんな費用を注ぎ込む訳無いもんな.....」
「じゃあ、誰かがこの数字を変えたって事?」
「意図的に間違えたのかうっかりミスなのかは分からないけど、間違いには変わりない。誰からこれを渡された?」
「部長の松川だけど.....そうか、資料の原本があるはず....」
部屋の一番奥にある松川のデスクへ近づき、一番下の引き出しを開けた。そこには大量のファイルが中身の種類別に仕舞われていた。
「お、おい。大丈夫なのか?」
「バレなきゃ大丈夫。バレても言い訳すれば大丈夫」
がさがさと引き出しの中を漁っていると、「予算関連」との名の付いたファイルに行き当たった。
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