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ドリトル先生と和歌山の海と山
第六幕その六

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「それで若しかすると死んでいない」
「落ち延びたというお話もですか」
「鹿児島の方にあるしね」
「本当は死んでいなかったんですか」
「そうしたお話もあるよ」
 実際にというのです。
「流説の類だけれどね」
「そうですか、若しかしたら」
「そう、生きていたかも知れないんだ」
「大坂の陣の後も」
「何か忍者みたいですね」
「うん、十勇士が家臣にいたしね」
 忍者と聞いてまた言った先生でした。
「幸村さんも忍者の色が強い人だね」
「じゃあその忍者の人のところにね」
「今から行くんだね」
「高野山に入る前に」
「そうするんだね」
「そうしよう、そしてね」
 さらにお話した先生でした。
「忍者のことも見ようね」
「幸村さんと一緒に」
「十勇士のことも」
「今からね」
「そうするんだね」
「そうしていこう、九度山に行ってね」
 こうお話してでした、そのうえで。 
 先生達は高野山に入る前にまずは九度山に入りました、そこには幸村さんについて何かと説明されているものがあってです。
 何かと書いていました、そうしたものを見て動物の皆は言いました。
「ここに幸村さんがいたのね」
「それも十年以上も」
「結構長くいたのね」
「そうだったのね」
「そうだよ、ここにね」
 実際におとお話する先生でした。
「幸村さんは流罪にされていたんだ」
「本当は高野山だったけれど」
「ここに入ってだね」
「十年以上暮らしていたんだ」
「家臣の人達と一緒に」
「そう、十勇士の人達とね」
 モデルになっている人達が実在しているとしてのお話です。
「ご家族の人達ともね」
「そうだったんだ」
「ここに十年以上ってね」
「寂しかっただろうね」
「どうもね」
「釣りをしたりしてのどかに暮らしていたらしいけれど」
 それでもというのです。
「もうこのまま世に出ることはないんじゃないか」
「そうも思ってなんだ」
「それでなんだ」
「ずっとここにいて」
「そうして逼塞していて」
「暗いままだったんだ」
「もうこのままここで終わるのかって」
「それが大坂の陣の前の幸村さんだったんだよ」
 あの歴史に残る奮戦の前のです。
「それでここに幸村さんのお父さんも一緒にいたんだ」
「その人はどうなったの?」
「幸村さんのお父さんは」
「大坂の陣で戦ったの?」
「そうして活躍したの?」
「その人はここで亡くなったよ」
 九度山で、というのです。この今も静かな山の中で。
「そうなったよ」
「そうだったんだ」
「考えてみれば幸村さんのお父さんだからね」
「お歳だっただろうしね」
「それでだね」
「結局また世に出ることはなくてね」 
 そうしてというのです。
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