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SAO -Across the another world-
四話 不可視の世界
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と階級、そして役職しか知らない。それはこの組織の特殊性故だろう。本島の場合、階級は三等特佐で役職は729SOF(特殊要撃部隊)の隊長であり、牧田の上官であった。

「菊岡二佐はどこに?」

「アレなら今総務省に出向いてる。もう少しで戻るからここに居ろ」

「了解です」

牧田が応じた瞬間、部屋のドアがガチャリ、と音を立てて開いた。開いたドアの目の前に居たのは、ここに居るのには似つかわしくない、若い男であった。彼は本島らと同じ制服を来ているが、胸に付いている徽章の数が違った。左胸に付けられた、色とりどりの防衛記念徽章の数は本島らと比べて二倍ほど多い。そして見た目がひょろりと細いのにも関わらず、この部屋にいる者全員が所持している甲レンジャー徽章と空挺徽章、そして射撃、格闘、体力と様々な徽章を着装していた。


「あ、ごめんごめん牧田君。ちょっと総務省での打ち合わせが遅れちゃってね。悪い悪い」

さらにこの場に似つかわしくない軽々とした口調で歩いてくる彼の名は、菊岡誠二朗。国語教師のような顔に黒いメガネ、華奢な身体と文官のような見た目であるが、胸に着装している徽章の通り、現場でも十二分に活動できると聞いているが、牧田は現場での姿を見たことが無い。それもそのはず、彼は現DAISの副局長を務めている管理職であるからだ。

「いや、大丈夫です。俺もさっき来たばかりなので」  

「そうかい、それは良かった。じゃあ、報告を受けた件について、話そうか」

報告を受けた件....昨日のダイシー・カフェでの一件の事だ。菊岡は今年の初めまでDAISの副局長とSAOの対策チーム指揮官を兼任して勤務していた。ユーリの情報も彼から聞き出した。SAOを含む、VRMMOゲームには情報技術の発展を期待する希望を抱く一方で、再びSAOのような惨劇を防ぐ為に、VR関係の事件には敏感になっていた。その方針は菊岡個人だけでは無く、その指揮下のDAISにも浸透しており、それ関連の情報収集にも余念が無い。今回の件もその方針に従って報告した。報告すれば、DAISのサポートを受けながら未帰還者の解放を進める事ができると思った故の行動であった。多分、このような方針でなければ報告せず、単独で行動していただろう。その点では、菊岡に感謝している。

菊岡は着ていたスーツを副局長席の後ろにあるハンガーに掛けると、牧田に手招きをして先程通った諜報作戦室へと導いた。

空いていたデスクへと牧田を座らせ、菊岡はすぐ側に置いてあるコーヒーメーカーでコーヒーを淹れ始めた。

「で、手掛かりっていうのは何なんだい?」

「一般人からの情報ですが、他のVRMMOゲームにて未帰還者だと思われる人物を発見したそうです。証拠と思われる画像もあります」

牧田はスマートフォンを取
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