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SAO -Across the another world-
四話 不可視の世界
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そこに引っ掛かった案件には実力行使を含む対応を行使し、警察や自衛隊の一般部隊等では対応出来ない様な大規模犯罪の芽を一つ一つ摘み取って行くのを主な任務としていた。所謂、CIAやFSB、MI6等と同じ情報機関であり、その国のアンダーグラウンドを司っているとも言える組織であった。
普段は防衛省情報本部を隠れ蓑としており、常時世間には非公開の組織であるDAISは、警察や自衛隊等といった既存の治安維持組織と違い、超法規的活動が政府によって容認されていた。勿論それは、テロ予備犯だと断定された被疑者を国家の名の下、法機関の許可無しに始末できるということだ。それによって、大規模犯罪を起こす可能性がある対象者を礼状無しに逮捕、あるいは実力行使によって強制排除することが、この組織には許されていた。
組織のモットーは「法を越えた悪には法を越えた制裁を」という任務内容に対してどストレートとも言える内容の文であった。そのモットーを「鼠」は気に入っており、任務を遂行する時にはいつもその文を心の中で唱えていた。といっても、彼女は対象者に対して実際に手を下し、その手を血で汚す普通警補官や特別警補官と称される者とは違い、諜報警務官と呼ばれる電子諜報のスペシャリストであった。
テログループや犯罪組織のコンピューターのハッキングは勿論の事、脱税や麻薬取引に関わっている個人のコンピューターにもまるで本物の鼠の様に忍び込み、その証拠を第三者に送信して対象者を検挙していた。その活動スタイルから組織内では彼女の事を「マウス」と渾名する様になり、彼女自身もその渾名を昔の自分と重ね合わせ、気に入っていた。
高校を卒業してすぐの十八歳の時に国家公務員試験を受け、見事合格した「鼠」は、入省時に防衛省の幹部に披露したハッキングの腕を買われて防衛省情報本部へと配属。そこでサイバー防衛関連で著しい功績を残し、一年足らずで特務部隊であるDAISへと栄転したが、配属されてから二年後に世間を賑わせた「SAO事件」に巻き込まれ、約二年半のキャリアを棒に振るうことになった。だから経歴上では四年半のキャリアの筈なのだが、実際は二年少しと短い。
だが、「鼠」はSAO事件に巻き込まれた事はマイナスでは無く、寧ろ良い経験だと思っていた。常時最前線に赴く
SAP
(
特別警補官
)
や
AP
(
普通警補官
)
と違い、任務時にはずっとDAISのオフィスに籠り、コンピューターとにらめっこしながら遂行している彼女にとっては、「死が隣り合わせの世界」で戦える初の機会であった。
だが「鼠」ことプレイヤーネーム「アルゴ」は、あまり前線に出る事をよしとはしなかった。それは、諜報部員であることの保守性だったのかもしれないし、或いは彼女自身の内面に、「死にたくない」という願いがあり、それが現実の行動にも影響を現したのか。どちらにし
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