猫娘と職場体験編
NO.039 合同職場体験・三日目 保須市混乱
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ある。
それは猫にしか聞こえない周波数の叫びであり、緊急コールを発したのだ。
そしてすぐさま出久の周りに集まってくる野生の猫達。
その中に、
「君、飯田君と一緒に行かせた猫だよね!?」
「ニャッ!!」
「僕を飯田君の場所に連れてって!」
出久はそれで大勢の猫達と一緒に飯田のもとへと向かって走っていった。
「(待っていてね、飯田君!!)」
無事でいてくれと言う祈りをしつつ出久は走っていった。
そして、
「あああああ!!」
飯田はひたすらステインに脚での攻撃を与えようと奮闘していたが、ステインの回避の速度は尋常ではなく悉く避けられてしまう。
「あのインゲニウムの弟か……ハァ……奴は俺の伝聞のために生かしたが……ハァ……お前は……殺す」
その宣言とともに飯田の腕を棘付きのシューズで踏み抜いた。
吹き上がる鮮血。
苦悶の表情を浮かべる飯田。
そしてそのまま足で地面に組み敷かれて、さらには持っている刀で右肩を貫かれる。
さらに叫び声を上げる。
「お前も兄も弱い……偽物だからだ」
「黙れ犯罪者……! 兄さんはもうヒーローとして活動できない程にお前に体を壊された……兄さんは多くの人を助けて活躍する立派なヒーローだったんだ! お前がそれで兄さんの将来を潰していい理由にはならない!」
そこで飯田は様々な兄、インゲニウムの活躍を脳裏に浮かべる。
いつでもかっこよかった兄さん……。
どんな苦境でも諦めないでヴィランと戦っていた兄さん……。
自分の力が困っている人の役に立てるように頑張ると言った兄さん……。
様々な思いが飯田の脳裏をよぎって涙を流し始める飯田。
「僕のヒーローだったんだ! 僕に夢を抱かせてくれたんだ! そんな兄さんを! 殺してやる!」
「あいつをまず助けろよ……?」
飯田の叫びにステインはただ一言その言葉を発した。
あいつとは飯田が駆け付けるまでステインと戦っていたヒーロー。
ステインは語る。
―――自らを顧みずに他者を救い出せ。
―――己のために力を振るうな。
―――目先の憎しみに捉われて私欲を満たすなどヒーローとしてもっともしてはいけない事。
「だからお前たちは偽物なんだよ……」
ステインは刀についている飯田の血を舐めた。
瞬間に重圧がかかったかのように動けなくなる飯田。
「じゃーな……正しき社会への供物……」
ステインが動けないでいる飯田に刀を振り下ろしてとどめを刺そうとしたその時だった。
「「「「「「にゃぁっ!!」」」」」」
「ッ!?」
突如として大量の猫がステインを覆うように、飯田を守るようにステインに襲い掛かっていた。
「なんだ、この猫は……!?」
ステインは咄嗟に腕を振
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