第3章 リーザス陥落
第109話 魔人アイゼルの願い
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らな。下衆は何処にでもいる。どうしようもない様な悪党がいるのと同じ様に。尽きる事など無いんだ」
「う、うん。……判ってる。ありがとうユーリ」
頭を撫でるユーリ。それを嬉しそうに微笑みながら受けるメナド。
「ところで、ボクは良かった、って思ってるけど……、ユーリはなんで戻ってきてたの? 目的は達したーって聞いてたよ? それに 他の皆は帰り木で一度戻ったとも聞いてたんだけど」
「ああ。簡単な事だ。少しばかりあの使徒達に用があってな」
気を失っている3人に目をやるユーリ。安心したのか、或いは痛みのせいでそのまま気を失ったのかはわからないが、生きているのは間違いない為、とりあえず安心だ。
「そっか。でも 思い出しても腹が立つよ。ボク、そんな軽い女なんかじゃないのに!」
「ははは。馬鹿みたいにデカい声だったからな。そのおかげで、こいつらを殺されずに済んだが」
「うん。例え敵だとしても、あんな風に殺されるのは見てて気分が良いものじゃないからね……っと、これで良し」
メナドは一通りの処置を終えて立ち上がった。
「メナド。こいつらはあんな目に遭っていたし、まだ負傷しているとは言え使徒だ。ここから先はオレに任せてくれ」
「う、うん。お願いね。ボクは 負傷者や倒れてる人達を皆と一緒に運び出すよ」
「頼む」
使徒の実力はメナドも良く知っている。そして その使徒相手に圧倒したユーリの事も。
それでもユーリひとりに任せるのは――と思うが、それでも他にもやる事は沢山ある。
この東の塔も洗脳がとけた兵士と救出に来た兵士で慌ただしくなってきた。……もう ユーリと離れなければいけない。不謹慎だが、メナドは名残惜しくも感じていた様だった。
「なにかあったら直ぐに呼んでね? 絶対だよ」
「ああ。勿論だ」
メナドはそう告げると、足早に去っていった。
そして この部屋はユーリとまだ目を覚ましていない使徒だけになった。
「さて……、ここに戻った言い訳、もうちょっと考えてないとな。説明してない志津香辺りが疑いそうだ。……だが、その前に客人か」
ユーリは ゆっくりと立ち上がった。
背後を振り返り、そこに足っていたのは。
「……まずは、礼を言わせて貰えますか。私の大切な使徒達の命を救ってくださり、感謝します」
魔人アイゼルだった。
「礼には及ばない。……あの手の輩は嫌いだ。だから斬ったまでの事だ。それにたとえ遅れたとしても、アイゼルが殺っていただろ? 遅いか早いかだ」
構える様子も見せず、ユーリは淡々としていた。魔人に背後をとられたと言うのにも関わらず。
「……落ち着いているんですね。魔人の私が後ろにいた、と言うのに」
「戦意がある
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