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リング
143部分:ヴァルハラの玉座その二十四
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ヴァルハラの玉座その二十四

「やはり、そこにいたのか」
「だが一つ言っておこう」
「何だ?」
 タンホイザーとクリングゾルは睨み合った。
「ヴェーヌスは。私の妻となる女だ」
「何だと!?出鱈目を」
「だがそれは真実だ。そしてヴェーヌスが妻となった時こそ」
「その時こそ」
 ジークフリートはそこに問う。
「私は」
「私だと!?」
 この場合の『私』は誰であるのか。彼は直感でわかった。
「貴様、それは一体」
「クッ」
 その失言を悟った者が言葉を濁す。
「どのみち。卿等には関係なきこと」
「そうか。だが」
 ジークフリートは動いた。
「公爵」
「わかっている」
 タンホイザーも彼の言葉に頷く。二人はそれぞれ左右に散って動きはじめた。
「二人がかりか」
「勝てるか、我々に」
「フン、造作もなきこと」
 男の声と女の声、両方で返してきた。
「私を。甘く見るな」
 ヴェーヌスを抱いたまま銃を取り出してきた。
「このままでも卿等二人を相手にすることなぞ造作もなきこと」
「それはどうかな」
 だがジークフリートはその言葉にも臆することはなかった。
「我々を侮ってもらっては困る」
 そしてタンホイザーも。二人は滑る様に動いていた。
 ジークフリートは動きながら剣を抜いていた。ビームサーベルであった。
「私の剣技。見せてやろう」
「小癪な」
 銃を放つが当たりはしない。全て二人にかわされてします。
「くっ」
「言った筈だ」
 ジークフリートが言った。
「貴様では我等は倒せぬと」
「貴様がニーベルングだったならばわからなかった」
 タンホイザーも言う。
「だが。貴様がその女の身体ならば」
「我等の相手にはならぬ」
「覚悟するのだな」
 タンホイザーが銃の照準を合わせた。
「ヴェーヌスを。返してもらうぞ」
「言った筈だ」
 だがクリングゾルはそれに応じようとはしない。
「ヴェーヌスは。私のものだと」
「まだ言うのか」
「何度でも言おう」
 クンドリーの身体を借りるクリングゾルが言う。
「ヴェーヌスは。私の妻になる為に作られたのだと」
「妻になる為だと!?」 
 それを聞いたタンホイザーの動きが止まった。
「そうだ」
「しかも。作られただと」
 彼にはそれがどういうことかわからなかった。一体ヴェーヌスは何なのか。そう思いはじめていた。
 ジークフリートはそんな彼を冷静に見ていた。何かあればすぐに動くつもりであった。落ち着いて構えていた。
 そのうえでクリングゾルを見据えていた。その黄金色の目の光が変わった。彼はそれを見逃さなかった。
「公爵、動け!」
「!?」
 ジークフリートは叫んだ。タンホイザーはそれを受け咄嗟に跳んだ。
 ジークフリートも動
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